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それで崩れていくんすかね? 12 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
12
作者:
夜煎炉
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12
海里
(
かいり
)
の、すっかり細くなってしまった体は、
柚陽
(
ゆずひ
)
が殴ったことで簡単にバランスを崩して、乱れた掛布団の上に倒れ込んだ。多分柚陽から殴られるなんて、想像もしていなかったからだろう。 のろのろと顔を上げる海里の目には涙が堪って、「なんで?」って言わんばかりの困惑も浮かんでいた。でも、海里が「なんで?」そう訊ねる事はなくて。 ゆっくり体を起こす海里に焦れたのか、頭を殴った手が、そのまま柚陽の髪を鷲掴みにした。ぐい、無理矢理に引き上げれば、海里の目にはますます恐怖が浮かんでいて。「やだ。やだやだ、ゆずひぃ、痛いよぉ……」なんて、弱々しい声で訴えている。 でも柚陽はそんな海里に構わず、むしろ面白がっているように、少し海里の頭を上げる位置を高くした。 髪を鷲掴みにした手を軽くひねって、ねじり上げる。 さすがに「声を出したら怖がらせてしまう」なんて、言ってられない。 「いい加減にしなよ、柚陽」言いつつ、
陸斗
(
りくと
)
が強引に割って入ろうとするより先に、柚陽は、にっこり、やさしく明るい笑顔を浮かべた。でも、幼さを感じさせる大きな目は、少しも笑ってない。 「ねぇ、海里。床、見てみなよ。すっごく汚れてるでしょ? なんでこんな風に汚したりしたの?」 「人、怖くて……入ってきそう、だったから……」 「だからってお部屋を汚して良いのかなぁ?」 ぎりぎりと、柚陽はねじる力を強くした。海里の髪がキシキシと軋む。海里の顔が歪んだけれど柚陽はそれで手を緩める事はしないし、「なぁに? その顔」不満そうに言って片手で今度は海里の頬を、思いきり張った。 海里は恐怖で声が出ないのか、代わりに首を振ろうとするけど、がっちり固定されてしまっていては、首も触れない。 「よく、ない……」 「分かってるじゃん! じゃあ海里、床を綺麗にしようね? 赤いのも、白いのも、きちんと綺麗に舐められるでしょ?」 「いい加減にしろ」 却って海里を怯えさせてしまうかもしれない。そう思って声を出さずにいたけれど、目の前の光景は静止せずにいられなかった。
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