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それで崩れていくんすかね? 抱いたままの、願いが1つ。 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
抱いたままの、願いが1つ。
作者:
夜煎炉
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抱いたままの、願いが1つ。
海里
(
かいり
)
は弱々しく
陸斗
(
りくと
)
の腕に触れたまま、じっと陸斗を見つめる。 海里の目に自分が映ってるっていうのは、落ち着かないっすね。もう2度とこんな事ないと思っていたし、望んでもいなかったのに。まさかまた、海里の目に自分を見る日が来るなんて、ほんと思わなかったっすわ。 戸惑いと、ずきずきと痛む心。押し潰そうとする罪悪感。 それでも何故か、陸斗に対して怯える様子を見せずに、じっと陸斗を見つめている海里の手を振り払うなんて出来ない。 今の海里が全て忘れていて。壊れてしまっていて。ある意味では「だからこそ」陸斗を信じて縋れると思ったなら、身勝手に振り払ったりはできない。痛みは、苦しさは己への罰なのだろう。 でも、なんでよりによってオレなんすかね。オレは本来、怯えられる側で、ここに立っているべきは「はるにい」である
波流希
(
はるき
)
か、せめて「親友」と呼べるだろう
港
(
みなと
)
なのに。 ちょっとだけ
柚陽
(
ゆずひ
)
に似てるからっすかね? 少なくともやった事は、そう大差ない。ちらっとだけ海里の足を見つめる。相変わらず包帯が巻かれていた。 この状況を理解するように。もしかしたら、理解を拒むように。 ぼんやりと、そう考えていた陸斗の方に、海里の反対側の手が伸ばされた。 陸斗の頬を、そっと、それでいて、しっかりと撫でる。ここにこの形があるんだ、そう認識するように。 それから海里は陸斗の頬に触れたまま、小さく、首を傾げた。 「……今、ちゃんと幸せ?」
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