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それで崩れていくんすかね? 4 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
4
作者:
夜煎炉
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4
海里
(
かいり
)
に借りた。 人の荷物からこっそり拝借して、いけしゃあしゃあと「借りた」と言う人間は少なくないけど、
港
(
みなと
)
が、しかも海里に関する事でそんな事をするとは思えない。 言葉通り、ちゃんと「借りた」……つまりは、海里に許可を得ているんだろう。 病室での海里が強く刻まれてしまっていただけに、港の言葉は衝撃だった。衝撃と同時に、僅かの安堵。 あんなに怯えてる海里に港が声を掛けるとは思えないし、いくらかは落ち着いた、んだろうか。 「……海里、話せるようになったんすか?」 「まだ時々、びくっと怯える時はあるけどな。それも減ったし、オレ達のことも思い出してくれた。お前のおかげだよ、
陸斗
(
りくと
)
」 「オレはなんもしてねぇっすよ」 どこか、港が笑ったように見えた。それは多分、勘違いでも自惚れでもなくて、だからこそ陸斗の胸を強く抉った。 そんな風に微笑んで、礼を言われるようなことはしてねぇんすわ。そもそもオレが最初、手を離さなければ起こらなかったことだ。 それでも。 それでも、海里が徐々に港たちと会話ができるようになっているというのは、素直に喜ばしい。罪悪感を抱きつつも、少しだけ、陸斗にも微笑みがうかんだ。 「だから着替えを取りに行くために海里から鍵を借りた。アイツな、お前のこと、気にしてたぜ」 海里の着替えを取りに行ったら、陸斗の荷物が無くなっていた。だから港は自分の友人に聞いて、陸斗の今日の宿を探し当てたらしい。 海里のことを大切に思ってるんだと、改めて思わされる。本来なら陸斗になんて関わりたくないだろうに。 「……海里、オレのこと覚えてたんすね。忘れてるかと思った」 自然、思わず漏れた声に、港の苦笑が返ってきた。 「海里は多分、お前のことを忘れたりはしないよ。アイツは今でも、お前の幸せを願ってるし」
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