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それで崩れていくんすかね? 12 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
12
作者:
夜煎炉
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12
紗夏
(
さな
)
は、1度引っ込めた手を、また
陸斗
(
りくと
)
の前に差し出そうとして、でも止めた。 「協力してくれるなら手を握ってください」みたく言われると思っていたのだけれど、違ったんだろうか。紗夏の行動を不思議に思う陸斗を前に、紗夏の方は俯き、ぼんやりと何かを考えていた。 両手を開いたり閉じたり。片手だけを、きゅっ、感触を確かめる程度の軽さで握ってみたり。 そうして気が済んだのか、ふー、息を吐き出すと今度こそ紗夏は、陸斗の前に手を差し出した。ゆっくり、ゆっくり、躊躇いながら。 「協力してくれるのなら、握手しませんか?」 言いながらも、陸斗に差し出した手は震えている。なんで急に。
柚陽
(
ゆずひ
)
は良くても他人はダメ、ってヤツなんすかね? そこまで考えて陸斗は、今差し出されてる手が、包帯の巻かれた方だと気付く。手首からぐるぐると巻かれている包帯。それは痛々しそうだけど、その言葉を全部信じるのであれば、紗夏にとっては大切なものだろう。それこそ、他人の陸斗になんて、触らせたくないくらいの。 「……逆で良いっすよ」 「え」 気付けば陸斗は、そう呟きながら、紗夏が想定しただろう方と反対の手を差し出した。「で、でも!」驚きを浮かべて、紗夏は何か言いたそうにしている。 「もちろん裏切ったら容赦しねぇっすよ? でもアンタは天秤の片方に、その手を乗せた。なら裏切られない限り、その手には触れないっすよ」 思ったままを伝えれば、「ありがとうございます」礼を返し、紗夏は包帯の方を引っ込めると、何も巻かれていない方の手で陸斗の手をそっと、でも、しっかりと取った。
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