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届いた港 からのメールは柚陽 からなにも接触がなかったことと、海里 の体調を伝えるいつも通りのものに、紗夏 のことが加わっていた。
「嵐の前の静けさ」っていうのを考えると恐怖しかないけど、メールからでも感じられる海里の回復は、素直に嬉しい。もちろん、「オレが気を付けれいればそもそも」なんて思ってしまって、陸斗 の胸は痛むのだけれど。
海里は段々安定していって、多少怯えてはいるけど、医者や看護師とも段々普通に話せるようになってきたらしい。足も、早ければ来週にリハビリできるんだとか。
最初の怪我からだいぶ無理をしていたみたいで、完治までには時間が掛かるし、多かれ少なかれの後遺症がある可能性も高いって言われてはいるけど、歩く分には問題なさそうだ、って。
そんな中で「相変わらず海里は、“陸斗に幸せになってほしい”の一点張り。だから、まあ、無茶はすんなよ」「オレとしては海里に幸せになってほしいから、お前のこと許せてねーけど、どうせなら2人で幸せになれよ?」って添えられてる文面には、思わず顔をしかめてしまった。
嬉しくないワケじゃない。海里のことが嫌いってことも、絶対にないって今では言える。
ただやっぱ、痛いもんは痛いんすわ。過去は消えないワケで、どんなに悔やんで「ごめん、ごめんなさい、償わせて」って叫んでも、どうにかなるワケじゃないんすけど。
この痛みを抱えながらでも、幸せになれるんすかねぇ。少なくとも海里に「幸せだ」って思ってもらえるんだろうか。
モヤを抱きながら、どうにか港への返信を打ち込んでいく。
もしかしたらオレ達って言うか、オレも、大分歪んでるのかもしれないっすわ。苦々しげに顔を歪んでしまう。
「あんま人のコト言えないかもしんないっすねぇ」、呟きながらも紗夏のことを考える。
メールの文面から考えるに、港と波流希 も、多少の警戒は残しつつ、紗夏は信じているようだ。まあ紗夏は片想いしてるだけ、って感じもするっすからねぇ。
相手はこの状況だとちょっと問題だけど。
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