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「だからオレは諦めないよ。海里(かいり)は絶対、絶対オレのにするって決めてたんだもん!」  にぱっ、なんて明るく笑ってみせる柚陽(ゆずひ)は、表情だけ見ていれば幼い子供だろう。まだ恋も愛も知らなくて、綺麗な世界だけが全てな、小さい子供。  口にする言葉はだいぶ身勝手だけど、本日はただただ真っ直ぐな片想いだ。でも、今度こそ海里を守りたいから、柚陽のやろうとしていることを見逃せはしない。  もしかしたら、そんな綺麗なものじゃなくて、醜いし、資格もない、嫉妬かもしれないっすけど。 「オレも、海里に幸せになって欲しいんすわ」 「あんなコトしたのに、自分が幸せにできるって思ってるなら、りっくん、図々しいよ?」 「アンタもじゃないっすか。……それにオレは海里が幸せになってくれれば良くて、オレが幸せにする、なんてうぬぼれてはいねぇっす」 「オレのコレは愛だもん。憎しみをぶつけた、りっくんとは違うよ?」 「そうっすね。でもオレは、海里をアンタから守るんすわ」  情けないことに陸斗(りくと)の声は震えていた。それでも震えているなりにきっぱりと言い切れば、柚陽はびっくりしたぁ、とでも言うように目を見開いた。  それから少し泣きそうに、眉を垂れ下がる。 「じゃあ、オレの後輩はりっくんに想いを通じることなく終わっちゃうんだ」  もちろん、「想い人はアンタっすよ」なんて言える訳がない。「悲しいよー」なんて言う柚陽に思わず「嘘つき」と呟けば、えへへー、明るく笑って、くるっとその場で1度まわってみせてなら、柚陽はもう、満面の笑顔を浮かべていた。

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