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「つーかお前、あんま紗夏 に肩入れすんなよ?」
この先どうするべきか。そもそもどうすれば自然に3人の関係を探れるのか。
そう考えていた陸斗 を、港 の声が思考の海からひっぱりあげる。「へ?」という間抜けな声は、考え込んでいたところを引き上げられたからっていうのもあるし、言葉そのものへの理解が出来なかった、というのもある。
紗夏に肩入れ?
確かに以前の自分と比べれば気に掛けている自覚はあるが、「世間一般論」で考えれば、おかしくないレベルだろう。
大切だと気付けて、償いたいと望んでいる人間を天秤の片側に乗せられてることを考えると、もう少し突っ込んでも良さそうに思える。まあ、藪蛇で柚陽 を刺激したくないんで、控えた方が良いかもっすけど。
陸斗の困惑は、分かりやすく顔に出ていたんだろう。「はあ」大きめの溜息を1つついてから、「良いか?」港は切り出した。
「まあ恋愛は自由だから止めねーけど。お前が紗夏に肩入れするあまり、紗夏の方に気持ちが揺らいで泥沼になることは避けてーの。それで海里がまた傷付くコトになるなんて、オレとしても先輩としても絶対ごめんだし」
「そうっすね。オレももう、海里を傷付けたくないっすわ」
言いながら陸斗は無意識に自分の手を握りしめる。確かにこの手にあった幸せで、この手が壊した幸せ。
もう2人の幸せが望まなくても、またこの手で海里を壊すことなんて、あってはいけない。覚悟を込めて更に手を握りしめた。
「最近のお前は大丈夫だけど、基本お前って好きなヤツにしか、やさしさを向けないしな。だから理由はどうあれ、紗夏に対してやさしく接してんのは、そっちに気持ちが流れないか、不安。……アイツ、海里に似てるし」
「……そ、っすね」
ああ、港の目にもそう見えたのか。ぼんやりと思いながら、さっきよりも小さな声で陸斗は呟いた。
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