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「過保護な幼馴染、ですか? それは海里(かいり)さんにとっての波流希(はるき)さん、みたいな?」 「まあ、具体例としてはそんなとこっすね。でも、そこまで大げさじゃなくて良いっすよ。ただの幼馴染にしては少し過保護に見えるとか、周りから言われる、とか」  待ち合わせ場所に決めた喫茶店、アイスココアのストローをくるくる回しながら、紗夏(さな)は目線を少し上に向けて考える仕草をみせた。  一応周り、特に柚陽(ゆずひ)に気を付けながら、陸斗(りくと)も自分のアイスコーヒーを飲む。「海里が好きそうな味っすねぇ」なんて、ぼんやり思った。 「幼馴染ってほどではないですけと、まあ、少し心配性で、柚くんとの付き合いについても猛反対する人はいますね。柚くんとは仲が悪いみたいですけど」  分かりきっていた答えだけど、実際に紗夏から聞いた事で思わずコーヒーが変なところに入りそうになった。どうやら良くない風向きになりそうだ。  名前を挙げるべきかどうか、考えて。 「……もしかして、隼也(しゅんや)っすか?」  訊ねれば、驚く様子も見せず、紗夏はあっさりと頷いた。 「そうですよ。あの2人、元からあまり相性が良くないみたいで、喧嘩になる事も珍しくないんです。隼也さんを相手にすると柚くんも結構感情的になりますね」 「……そうっすか」  思わず前髪を搔きあげ、盛大な溜息を漏らしてしまう。

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