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それで崩れていくんすかね? 7 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
7
作者:
夜煎炉
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7
陸斗
(
りくと
)
。聞き覚えのある、今聞きたくない声で1、2を争う声が聞こえて、陸斗は身構えながらも視線をそっちに向けた。 思った通り、声がした方には
隼也
(
しゅんや
)
が立っている。何か言いたげな顔をしてるけど、目を見るだけでもいろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざっていて、何を言いたいかは分からない。 多分、喫茶店の前で
紗夏
(
さな
)
と別れたトコ、見られたんだろうなぁ。 ぼんやり思いながらも、平然と「どうしたんすか?」聞いてみた。 「お前、
月藤
(
つきとう
)
と知り合いだったのか?」 開口1番、って感じだ。 まだ陸斗に対して怒りはないようだから、話し合いの余地はありそうだけど、下手な事を言えば
柚陽
(
ゆずひ
)
相手にした時のようになりかねない。 もちろん、本当のことなんて言えないし。ここは慎重に、っすね。 内心で自分に言い聞かせながら、陸斗は「当たり障りのない」答えを手探りながら、口を開く。 「うーん……まあ、知り合いって言うのが1番近いっすかね? 知り合ったのは最近なんすけど」 「……そっか」 少しの間、露骨に疑いの眼差しを向けていた隼也だったけれど、納得してくれたらしい。 いろんな感情が混ざっていた両目から、疑いとか、怪訝とか、そういうのが消えて、少しだけ単純になっていく。まあ、そうは言ってもまだまだ色々秘めてそうっすけど。 「でもお前と月藤って珍しい組み合わせだよな? と言うか、いつ会ったんだよ? なんであんな親しそうなんだ?」 喫茶店での様子か、別れ際の様子を覗いてでもいたんだろうか。 まったく。心配なのは分かるっすけど、度を越したらただのストーカーっすよ? 柚陽の「顔に似合わず独占欲が強い」っていう評価に、つい納得してしまいそうになる。 まあ、それだけ紗夏を案じてるから、なのかもしれないけど。 とりえず、紗夏にはあとで口裏合わせを頼むとして、 「たまたま迷子かなんかになってた紗夏を見付けて、案内したんすよ。で、お茶したんす」 無難な答えを口にした。
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