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ソレには、ちょっと「頑張って」とは言えないし、もちろん「応援するっす」なんて言えるはずもない。そりゃあ、柚陽 の件では助けられたし、隼也 には感謝してる。お礼は、するべきなんだろうけれど。
陸斗 は、はっきりと告げられた言葉に、応えを見失った。あんま考えこんだら、変に勘繰られそうだから、テキトーなことでも言っておかないと。そうは思っても、肝心の言葉が出てきてくれない。
黙り込んで、下手すればオロオロしてるんだろう陸斗に、隼也はなにを思ったか。
苦笑を浮かべて頬を掻く。怒っている様子はなくて、むしろ、照れくさそうな感じで。
「あー、やっぱ意外か? アイツの言葉なんていちいち真に受けてねーけど、顔に見合わず独占欲が強い、っていうのは、よく言われてるからさ。月藤 に対する感情は、独占欲とは違うし、そんな淡泊そうな顔してるのかって、お前にまでそんな反応されると、さすがに気になる」
「うーん……そっすねぇ」
どうやら、陸斗の沈黙をそういう風に取ってくれたらしい。だけど安心はできない。人を疑いすぎかもしんねぇけど、柚陽には何度もかわされた。
人の内心なんて、結局見られないんだから。
「確かにちょっと、独占欲が強いタイプには見えないっす。でも人なんて見掛けによらねぇし、感情だっていろいろなんだから、他人がとやかく言えることじゃ、ないんじゃないっすかね?」
それは、紗夏 と柚陽のことも。なんて、恐ろしくて、隼也を前に言えないけど。
「ん、そっか。まあ、お前なら心配ないと思うけど、あまり月藤にチョッカイ出すなよ?」
「了解っす。……ああ、柚陽にはオレが知り合いだってこと、秘密にしてもらえないっすか?」
「言われなくても。アイツ、他にも代わりなんているくせに、月藤だけ必要以上に壊そうとするからな……。アイツが暴走するような真似はしねーって」
「じゃあな」そう言って去っていく隼也の背中を見て、陸斗はようやく息が吐けた。
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