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正直、陸斗 にできることには限界がある。なんせ、隼也 とは面識があるし、紗夏 と面識があるっていうのも伝えてしまった。警戒されるだろうし、下手したら海里 が危ない。
だから「オレが代わりに」なんて言えないけど、それでも。
それでも、オレは隼也の友人だから。だからこそ、できないことはあるけど、友人だからできることもあるんだと思うんすよね。
もちろん、油断なんてできないんだけど。
「……最悪、海里が危なくないように、柚陽 には口裏を合わせてもらうっす。一応柚陽、オレにはチョッカイ出してくることあるんで、会話はできるし」
会話になるかは分からないし、危ないから最終手段ではあるけど。
柚陽が陸斗の話を聞いてくれるっていう確証はないけど、隼也との仲の悪さを見る限り、「まだ」「もしかしたら」っていう期待はできる、はず。
「隼也が「おかしい」とか、そういうの、思わないように。港 が危ない目に遭わない様に。直接的なコトはできねぇから、そういうコトしかできないっすけど」
「それをしてくれると助かるかな。なにが起きるか分からないのもあるし、フォローしてもらえるのは助かる。折角助けてくれるって言ってくれた紗夏くんを裏切りたくないし、皿の片方を考えると危ない橋は渡りたくないんだ」
「言えた資格はないっすけど、オレも海里が傷付くことは避けたいんで。協力させてほしいんす」
「お願いね」
それだけで償えたなんて、少しも思えないけれど。
それでも、波流希の目から少し不安とかが消えて、ほっとしたような微笑みと、やわらかい光が少しばかり戻ってきたように見えて。
まだ、良かったかな、なんて、そんな風に思った。安心するには早すぎるけど。
だから陸斗は、波流希に応えるように小さく微笑む。自覚できるくらいには引き攣った、不器用すぎる笑い方だったけど。
「ん、是非オレにやらせてほしいっす」
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