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「んなワケで。アレが演技じゃない限り、隼也 は今の今まで無自覚だっただけで、恋情自体は抱いてたっぽいっすよ」
下手に喫茶店なんて使って隼也にバレてしまったら大変な事になる。なんせ、今の隼也にとって港 は、「紗夏 に近付く悪者」なんだから。
そんな人間と陸斗 が一緒にいるのを見て、何も起こらないだろうなんて思えるほど、陸斗は楽天家ではなかったし、海里 のことを考えれば、用心に用心を重ねても、「気にし過ぎ」なんてことはないだろう。
そう考えて陸斗は、港の家を教えてもらって出向く事にした。
港に限らず誰かの自室で向かい合うというのは、外で会う時と違った緊張感があるのだと、陸斗は初めて知った。特に港の部屋となるとなおさらだ。なんせ負い目がいくつもあるっすからね。
そんな風に思いながらも隼也のことを報告すれば、港の顔は露骨に歪んだ。
顔は青くなったし、ぶるっと分かりやすく震えて、寒さを堪えるように自分のことを抱きしめる。
「港?」
「いや、なんつーか……。アレで無自覚だったんだと思うとマジで怖ぇ」
港の声は心なしか震えている。
「姿は見えなかったけど嫌な感じがした」と言っていたし、ソレは思い出すだけでも震えてしまうようなものだったんだろう。
嫌な役目を押し付けてしまったことも自覚してる。「ごめん」思わず謝れば、返ってきた「気にすんな」の声は、さっきとは比べられないほどに明るくて、震えもなかった。
「怖くない、とは言えねーけど、紗夏との約束を考えると、不安なとこは潰すに限るだろ。それにオレだって海里を守りたい、助けたいんだからよ」
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