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それで崩れていくんすかね? 9 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
9
作者:
夜煎炉
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9
隼也
(
しゅんや
)
が握るナイフの切っ先は、細かな狙いこそ定まっていないものの、大枠では正確に
紗夏
(
さな
)
を狙っていた。無論、隼也の方には「狙おう」なんて気持ちは毛頭なくて、感情のままに突っ込んでいるだけだろうが。 そうした人間ほど危ないものはない。運が良ければかすり傷さえ追わずに済むかもしれないが、運が悪ければ。 ここが自分の家であり、
海里
(
かいり
)
の帰りを待つための場所だから、というワケではない。いや、その考えがまるきりないとも言えないかもしれない。 ただ、
陸斗
(
りくと
)
としても、このまま紗夏が刺されるかもしれない、最悪殺されるかもしれないというのを、ぼんやり見ることは出来なくて、思わず紗夏を庇うように2人の間に入ろうと足を踏み出した。間に合うだろうか。違う、間に合わせるんすよ。無理矢理にでも。なんなら紗夏を引っ張ってでも。 しかし、それは、 鼻先を鉄錆のニオイが擽った。新たな痛みを感じることはない。もしかして、間に合わなかったんすか。 悔やみながら、おそるおそると、目線を紗夏たちの方へ向ければ。 「あー、もう! いったいなぁ」 ぽたぽたと赤色の液体を伝わせる腕を片手で抑えながら、不満そうに訴えるのは。「痛い」と訴えながら、弾んだ声は。 「柚くん!? 柚くん、なんで、なんでですか!?」 切迫した声が、叫ぶように柚陽を呼ぶ。その言葉通りに。 隼也と紗夏の間に割って入った柚陽が、そこにはいた。
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