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それにしても柚陽 の帰りが遅い。
向かったのが復讐である事を考えれば、そんなに早くには帰ってこないだろう。一応大体の検討はついたとしても、どこに隼也 がいるかも正確には分からないのだし。
しかし、そうした事を踏まえても少し遅過ぎる様にも思えた。紗夏 はもう、夕食さえ終わらせている。
陸斗と何気ない話を交わしながらも、時折そわそわと扉を見る事が増えた。いつそこが開いて柚陽が戻ってきてくれるのか、楽しみなんだろう。病院という場所でさえなければ、仮に病院であっても怪我の理由や柚陽が席を外してる理由さえ違っていれば、それは微笑ましい光景だろう。
今では、痛ましい光景となってしまっているが。
まさか本当に紗夏を捨ててしまったのだろうか。あの時隼也に激昂する柚陽は、隼也の凶刃から咄嗟に紗夏を庇った柚陽は、演技になんて見えなかったのに。
あるいは隼也に復讐を果たした事で気持ちが隼也に向いてしまう可能性だって否めない。セフレから始まる恋とやらがあるように、暴力を愛とする柚陽なら、有り得ない話ではないのかも。
紗夏を不安に思わせない範囲で陸斗も扉を凝視する。
陸斗のポケットから着信音が流れたのは、ちょうどそんな時だった。
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