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それで崩れていくんすかね? 2 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
2
作者:
夜煎炉
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2
柚陽
(
ゆずひ
)
とはあれ以来一切連絡が付いていない。電話をしてみても聞こえるのは無機質な電子音声。メールをしても戻ってくるし、連絡アプリは既読さえ付かない。もちろんと言うか、なんと言うか、そんな状態で見舞いに来てくれるはずもなく。 まあ見舞いに来られたら来れられたで気まずいし、なんらかの事情でもない限り見舞いに行く仲じゃないだろう。 電子機器1つで簡単に連絡が取れる世の中になったというのに、連絡を取らない方法も簡単らしい。これで
陸斗
(
りくと
)
が大学に行っていれば顔を合わせた可能性もあっただろうが、何分今陸斗は入院中。会う機会は減っていた。 「柚陽、無理してないと良いんすけど」 本人に伝える手段を失っているため、結局はケータイを見つめてぼんやりと呟く。 どこにも繋がっていないケータイだ。当然、返答などない。今まではそうだった。しかし今回は、まるで陸斗のひとりごとに応えるようなタイミングで、コンコン、扉を叩く音。 「……はい、どーぞ」 念のため警戒しながら陸斗は声を掛ける。まあ、警戒したからって「何ができる」って感じっすけど。 「失礼します」と礼儀正しく伝える声は、聞き覚えのあるもの。その記憶と違わず、遠慮がちに病室に入ってきたのは
紗夏
(
さな
)
だった。 一応目立つような傷がないことに安心する。目にもしっかり感情が宿っているから白い肌に巻かれた包帯は、柚陽によるものだろう。 「陸斗さん、調子はどうですか?」 「まだちょっと痛いかなって感じっすね。紗夏の方は? 柚陽も元気?」 さりげなく聞けただろうか。一応自分の耳に届いた声としては「問題ない」って言えるくらいだと思うけど、紗夏の耳にどう届いたかは分からない。 紗夏はと言えば、少し落ち込んだような顔を見せて、ふっと目を伏せる。今にも泣き出しそうだ。なにか変な事を言ってしまっただろうか、思わず焦り出す陸斗に気付いてか気付かずか。 「オレは大丈夫なんですけど」 目に見えて落ち込んだ様子で紗夏は切り出した。
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