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「どんなヤツだったか、聞いても良いか?」
複雑そうな色を浮かべたまま、港 に問われる。あの少年に無断で伝えてしまって良いものか悩むけれど、なんとなく港と少年は顔見知りの様にも思えた。あと、やっぱあの子をオレは知ってる気がするんすよねぇ。
それから複雑そうにしながらも真剣に問い掛けている港は、興味本位というより、本気で海里 や陸斗 のこと、果ては少年のことまで考えての結果な気がして。
「ごめん」。なんて、届きはしないから自己満足なんだろうけれど、それでも内心で少年への謝罪を1つ。「そうっすねぇ」という切り出して、陸斗は少年の印象を伝えるべく、口を開いた。
「肌は白くて、黒髪は長め。海里よりも余裕で長いっすね。どこか自信がなさそうっつーか、心細そうで、言葉遣いは丁寧で、海里のこともオレのことも知ってるみたいだったっす。あと腕に包帯もしてたなぁ」
特徴といったら、そんなところだろうか。
陸斗のケガや海里のことを頑なに「オレのせいです」と言い張っていたことは、思わず伏せてしまった。
やましい事があるせいで港の顔を見られていないし、「なにか隠してるな」くらいは余裕で悟られてしまってるだろう。
「あ、それと……いや、どうなんだろう、コレ」
別にソレを取り繕うために、じゃない。1つ引っかかっている事があって、付け加えようとする。けれどソレがあまりに「主観的」で「抽象的」なのにすぐ気付いて、陸斗は口を閉じた。
人の印象を語る時、「主観」「抽象的」っていうのは、あまり適さないものだから。
「いや、良いよ。お前が言いたくないっていうんじゃない限り、お前の思ったままを聞かせてくれりゃあ、それで」
「じゃあ、お言葉に甘えるっす」
そんなに分かりやすかっただろうか。陸斗の思考を見透かしたかのような港の言葉に、苦笑しつつ陸斗は言葉を続けることにした。
「その子、なんか海里に似てる気がしたんすよねぇ。今思えば目鼻立ちとかも全然似てなくて、小柄で細身、色白、髪がサラサラしてる、なんて、その程度の類似点くらいしかないんすけど、なんか似てるって思ったんすよねぇ……」
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