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「どういうことっすか?」
考えるのを1度止めて、陸斗 は港 に問い掛ける。
確かに頑なだったし、あの少年がどこの誰か陸斗には分からないから難しいかもしれないけれど、港が知ってるなら伝えること自体は難しくないはず。
それにいくら頑なだからといって、何らかの打開策というか、とっかかりくらいはありそうなものだ。
でも、港は「難しい」と言った。それは、なんで。考えても、分からない。
陸斗が思わず問い返せば、港は難しそうな顔をしたから、陸斗としても言葉に迷ってしまう。触れてはいけないところだっただろうか。
そう思って「えっと」と、どうにかごまかす言葉を考えようとして、「上手く言えないかもしれねーけど」、まるでそんな陸斗を制する様に港が切り出した。
「いや、無理しなくて良いっすよ?」
それでもやっぱり港に無理させてまで知るべきではないだろうと、陸斗は言うものの、港はきっぱりと首を横に振った。
つまりは、「否」。
「無理はしてねーよ。つーか、無理はしてねーけど、お前が知りたいなら言うべきだし、やっぱお前は知っておくべきだからさ」
苦笑交じりに言われてしまえば、もう陸斗には返す言葉もないワケで。
「それならお願いするっす」
呟くように返した。
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