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「……あー、お前は、さ」
言いにくそうにしながら、頭の後ろを掻いて、目を泳がせて。そんな風にしながら、港 は分かりやすく「言葉を探して」いる。
なにを言われても当然で、受け入れるべきだ。それが傍から聞いてどんなに酷い誹謗中傷であっても、陸斗 にとっては甘んじて受け入れるべき言葉なのだ。そして同時に、
「確かに恨んでねぇって言ったら嘘になる。海里 が“ああ”じゃなかったら、数発入れてたかもしれねぇ。でも、海里は“ああ”だし、お前の気持ちだって、まあ、分からなくはねぇからさ」
どんな、許容の言葉であったとしても。
受け止めて、受け入れて、裁かれずにいるのが、陸斗にとっての罰なんだと思う。
それでもどこか息苦しくて、小さく喘ぐ陸斗に気付いてか、気付かずか。「それにな」と、話の流れを変える様に港は呟いた。
目にはまだ迷いがあった。“ソレ”を陸斗の前で言って良いのか、否かという迷い。
同時に、覚悟もあった。
その詳しい内容までは、生憎今の陸斗には悟れないけれど、それでもオレにだってその覚悟はあるんす。ソレが海里のためならなおさら、と。
港なら寸分違わず受け止めてくれるだろう、受け取ってくれるだろうという確信から言外にその意を込めて、陸斗は力強く頷いた。
果たして、ソレは港に、正確に伝わったらしい。
港も1つ頷いて、
「今、警戒すべき人間は見誤らないようにしてんだ」
そう、切り出した。
港に頷いた時から腹の痛みを感じる内容だろうことは、頷く前から覚悟している。だけど陸斗は腹を抑える事無く、港の言葉を待った。
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