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それで崩れていくんすかね? 2 | 夜煎炉の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
それで崩れていくんすかね?
2
作者:
夜煎炉
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2
柚陽
(
ゆずひ
)
の家のリビングで、
陸斗
(
りくと
)
と
紗夏
(
さな
)
は向かい合っていた。 陸斗が退院してからは毎日のように行われている、いつまで経っても平行線の話し合いだ。あるいは「話し合い」とも言えないレベルかもしれない。 話し合いが平行線なんだから当たり前と言えば当たり前だけれど、内容は変わらず、「オレのことは構わなくて良いです」「そんなことできないっすよ」といったもの。 なんとなく、あの家に「
海里
(
かいり
)
以外」を入れたくなくて、かと言って紗夏を放っておくなんて論外。 陸斗のそんな気持ちを柚陽も察していたんだろう。「なんかさぁ、りっくん的にはトラウマを抉られて嫌かもしんないけど」。そんな風に前置きしてから柚陽がした提案が、「りっくんさえ良ければ、オレの家で紗夏と過ごして欲しい」だった。 確かに「恋人同士」だった時、陸斗は柚陽の家で暮らしていたから、そこには「トラウマ」と呼べるようなものがある。 トラウマと言うよりは、陸斗にとっては「後悔」や「罪悪感」なんだけれど。 それでもあの家に海里以外を上げず、紗夏を守るための方法はコレが1番だろうと陸斗は、「お言葉に甘えるっす」と肯定を返す事にした結果が今だ。 とは言え、紗夏はソレも含めて、「申し訳ない」と思っているようだけれど。 「ね? 紗夏くん。オレの自己満足に付き合ってもらえないかな?」 「お言葉ですけど、陸斗さんがオレを守ることは、陸斗さんの自己満足にはならないと思いますよ。だって陸斗さんが好きなのは海里さんですし」 「いや、そうっすけどね? オレは好きな人以外を守りたくない、っていうほど、ひどくはないっすよ!?」 もちろん、誰彼構わず守ってあげたい、なんて思うほどの聖人君主でもないけれど。 少なからず、知人を放っておけるほど心が冷たくもない。とは言え、まあ、かつての陸斗であれば「アンタなんて知らないっすよ」と、舌を出せたんだけど。 でも、紗夏を放っておければ良かったなんて思っていない。“こう”思えるに至った理由は、あまりに残酷で辛いけれど、紗夏のことを守ろうと思えて良かったと今では思っているのだし。 陸斗の言葉に少なからず納得してくれたのか、「それはそうかもしれませんけど」と、紗夏は返してくれた。 明らかに、分かりやすく、不満そうではあったけれど。
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