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雨が強くなってきた スーツが雨に濡れて重い 涙……止まらない…… 雨と一緒にこの訳のわからない感情も流れてしまえばいいのに 二人で歩いた駅までの道のり なんだかんだ、楽しかったな…… 環………… なんで、こんなに悲しいんだ…… データは返してもらった もう脅されることはない ……なのに、どうして…… 環の笑った顔を思い出したら、更に泣けてきた 「………っ」 胸が苦しい 「碧!!」 名前を呼ばれて振り向く 傘を持って立っている環がいた 走ってきたのか、息が弾んでる 「………環」 声が震えてるの、バレなかっただろうか 堪らない気持ちになってきて涙があふれる 「何、泣いてるんだよ。碧」 こんなに雨が降ってるんだ 泣いてるなんて分かるわけ無いだろ 「碧………?」 優しい声 追いかけてきてくれて……嬉しいなんて…… 「………たまき」 ボロボロ涙がこぼれる 「泣かないで。碧」 そっと抱きしめられた 胸がギュッとなる どうしよう………… こんな最低な奴なのに ………あぁ、嫌だな 自覚したくなかった 俺……環の事、好きみたい…………

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