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第13話
ガタイのいい男は、本格的に広瀬を自分の力の支配下に置こうとしている。
広瀬は全身で暴れた。手足を思いっきり動かし、殴りかかり、蹴飛ばす。
「おっと」
ガタイのいい男は、顔をしかめた。後ろ蹴りが向う脛にうまくヒットしたのだ。
「この」
腕を後ろにとられねじ上げられた。痛みが走るが広瀬は声をこらえた。
ガタイのいい男に羽交い絞めにされ、幹部の男が前にきた。手が降りあげられ、思い切り、頬を張られる。目がチカチカするくらい強い。
「抵抗するとは、きちんとした躾がされてないんだな」と幹部は言った。「だが、躾をして欲しいというなら、それはそれで楽しませてもらおう」と男は言った。
幹部の男は、抵抗できない広瀬の黒い制服のシャツのボタンに手をかけた。一つ一つ外していきながら言葉をつなげている。
「お前の紹介状には、この男は生意気なところがあるから、礼儀作法を教えこんで躾もしてほしいと書いてあった。その通りにしてやろう」
目の前がクラっとする。
紹介状というのは、小森北署の長谷川がどこかのつてを使って書かせたものだ。本当にそんなことが書いてあったのか。
シャツの首を大きく開かれ、むき出しになった首筋にガタイのいい男の息が荒くかかってくる。
後ろから話しかけられた。「きれいな色だな。こうしてみると、ずいぶん色っぽい。薄桃色で。肌もすべすべしている」ベロリ、と舌で舐められた。
全身、総毛だつ。
広瀬は腕の痛みもかまわず、思い切り身体をよじった。
「やめろ。これは犯罪行為だぞ」と広瀬は言った。
幹部は唇をゆがめる。「おや。まだ、強気だな。だが、このクラブでは、なにが犯罪で何が犯罪じゃないかは、お前ごときが決めることじゃない」と言った。「今から、お前を裸にして、躾をする。なに、すぐに好きになって自分からしてほしくなる。私は大勢人を見ているからそういう素質がある人間はすぐにわかる」
幹部の男の手が、制服のスラックスに手をかけボタンをはずしてくる。
ガタイのいい男は広瀬が動けないようにがっちりとおさえている。骨がギシギシいうくらい痛い。どうしたら逃げられるか。
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