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第14話

そこで、突然、部屋のベルが鳴った。 ハッとなって反射的に二人の男はドアの方を見た。 だが、すぐに「放っておけ。なにかの間違いだろう」と幹部はガタイのいい男に言った。 また、ドアベルが鳴らされた。急な用事でもあるのか、何度も繰り返し鳴らされている。 幹部の男は、舌打ちした。再度広瀬に顔を向けた。 「放せ!」広瀬は大声を出した。「誰か!」ドアのむこうに叫ぶ。 ベルを鳴らしているのは味方ではないかもしれないが、二人の男に隙ができるかもしれない。 幹部の男は、フンと鼻で笑う。「あいにくだが、この部屋には私の許可なく誰も入らないことになっているんだ」 そして、再び広瀬に顔をよせてきた。 「血が出てるな」と唇の端に指で触れ、ジロジロとまじかで広瀬の顔を見る。 それから、いきなり、また、手を振り上げた。「さっきの続きだ。最初の躾は厳しくしないとな」 広瀬は思わず目を閉じた。 まだ、ドアベルは鳴り続けている。さらにドアがドンドンと叩かれた。 あまりにもしつこい。 幹部の男は、「抑えてろ」とガタイのいい男に命じ、ドアに向かった。 ドアをわずかに開け、幹部の男は「何の用だ?」と言った。 ガタ、という大きな音がする。 「おい!なんだ?!」と幹部の男が怒鳴りつけている。 ドアが大きく開けられ、幹部の男を押しのけるようにして入ってきたのだ。 「誰が入っていいと言った?」 幹部の男は、部屋の中に無作法にきた人物を怒鳴りつけた。 「誰からもいいとは言われてないんですけどね」と答える声がした。低い小さいがよく通る声。東城の声だった。 広瀬は、勘違いでないといい、と心から願い、首をねじってドアの方を見た。 ドアを押し開けて入ってきた東城と竜崎が立っていた。 「なんだ、お前たちは。なにをしにきた!」 幹部の男は怒りをあらわにしている。威圧的だ。 「勝手に入ってきて、許されると思っているのか」 東城は、その言葉を聞いて、めんどくさそうな顔をした。 「あんまりワーワー騒ぎなさんな」と東城は言った。「そこで乱暴をされている人に用事があるだけなんだ」

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