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第15話

「なんだと?」 東城は、幹部の男を押しのけた。 幹部に手をかけられたため、ガタイのいい男が、「おい、どういうつもりだ」と言った。 広瀬をつかむ手が緩む。 その隙に広瀬は、男の手を逃れた。すぐに、男の顎を狙い足を蹴り上げる。わずかに避けきれず、男の顔がゆがんだ。 「この」 男はカット目を見開き、広瀬を再びとらえようとした。 すぐに東城が割って入り、あっさり男の横に回り込むと体勢を崩させ床に転がしてしまう。 「おい!」幹部の男もかなり体格がいい。 とびかかってきたが、細身の竜崎が身体をあて、あざやかに倒してしまった。 「こんなことをしてタダで済むと思うなよ。私を誰だと思っているんだ」と幹部の男はわめいた。 「さあな。知らない。我々があなたのことを知らない方が、あなた自身にとっても、この店にとってもいいことだと思うぞ」と東城は言った。 静かな口調だったが、声から怒りが膨れ上がっているのがわかる。 さらに、東城は床に倒れた男の側頭部を容赦なく蹴ろうとした。竜崎が制止の声を出す。 「だめだ。死ぬぞ」 竜崎の言葉を無視し東城はしばらくは蹴りそうなそぶりを見せていた。倒れた男は両手で頭をかばい身体を縮めている。 竜崎が再度強く東城を制止し、やっと彼は蹴るのをやめた。

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