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第22話

広瀬は質問する。「クラブ森潟は、どうなるんですか?摘発されるんですか?」 「あそこは当分なにもおこらない。小森北署が大事にしている情報源らしい。福岡さんも別に小森北署の風営法違反の目こぼしには興味ないからな。お前に乱暴しようとした奴らが無事で無傷かと思うと、あの時やっぱりもっと殴ってやればよかったよ。残念だ」 悔しそうにしているが、こうも言った。「だけど、悪が栄えたためしなし。そのうち潰してやる」 東城はその後話を変えた。「それはそうと、お前、あそこで何やってたか知ってるのか?」 「何やってって?」 「あのクラブでだ。あのクラブ、個室で1対1の買春なんか清純派って思えるようなことしてたらしいじゃないか。複数はあたりまえ。他にも狩りとか」 「狩り?」 「ワンフロア使ってシューティングゲームまがいの乱交だ。裸にしたスタッフを狩りの獲物にして、追いかけてたらしい」 「そんなことまで」と広瀬はつぶやいた。 あの部屋でみたショーのことを思うと、狩のようなゲームに興じるのは十分ありうる。 「チームの同僚が森潟にいたときに、とんでもないもの見たっていって話したのが狩のお遊びだ。かなり地位のあるおっさん達が参加して楽しんでたらしいぜ。一見紳士のほうが、えげつなかったって。仕留めたらその場でもどこでもことに及んでたってさ。仕事柄色んなもん見たけど、5本の指に入るって言ってた」 「なにの、5本の指ですか?」 東城は広瀬を試すようにみる。 「何だと思う?」 彼は広瀬の右手をとり、5本の指を示してくる。それから、人差し指の関節を自分の唇に当てた。 返事をしない広瀬に再度聞いてくる。 「何だと思った?」 東城が広瀬の手と指をからかっている。 「質問に質問で返すなんて」 東城は軽く笑い、ついでに指を噛んだ。 「一度に見た体位の種類」と彼は言った。 唇が手首におりてくる。静脈をなぞるようにして腕をすべってくる。手首は肌が薄く敏感だ。触れるか触れないかだけでも感じてしまう。 「それに、逆のパターンもあったんだって」 「逆?」 「スタッフが客を狩るんだ。裸にされて狩られたいっていう客もいたらしい」 半袖のシャツの袖口まで唇がくる。それから、首にやってきた。東城は手を優しく広瀬の額にやり軽く押して後ろに倒す。喉が彼の前にさらされた。 鼻の先が首筋にあたり、唇で喉を確かめられる。 「驚かないんだな」と彼は言った。 鼻と唇のあいまいな愛撫が続いている。

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