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第14話

「あ、それと虹。子供の作り方もう一度勉強し直しだな。」くすくす楽しそうに笑う博士にまた赤面して俯いてしまう。 ……受胎の概要は知ってる……つもりだったんだけど…パートナーの儀式は……詳しく習わなかったから……何となく、飛び級っぽく出来る様な……そんな感じしちゃった……って言うか……。 言い返そうとしどろもどろになりながら言葉が返せない俺を見て、博士が歩み寄ってくる。 「ふーむ。虹は勉強は出来る。典型的な頭でっかちの経験値不足だな。」 博士は小さく呟き俺の頭をぽんぽんとはたく。 「まぁ ゆっくりティアに教わればいいだろう。実践はもうパートナーになったティアにしか無理だしな。」 その言葉を聞いて、傍で聞いていたティアが口を挟む。 「博士、実践するつもりだったんですか?呆れた。」 「虹はもう、僕の可愛いパートナーなんですから、絶対誰にも手は出させません。」 ティアは何か言いたそうな博士から遠ざけようと俺の肩を抱いて距離を取る。 「虹はこの後、データ転送のカプセル室へ移動ね。僕は、学童の授業があるから。」 「データ転送が終わった頃に迎えに行くから、ラウンジで待ってて。」 「うん。分かった。」 研究室からカプセル室は目と鼻の先。 早速、担当医による簡単な問診と身体チェックの後、データ転送の作業に入る。 指先と脳と心臓に器具を付けてカプセルの中に入る。俺は横になってリラックスしてればいいだけ。 コレで色々俺の情報がデータ化されてマスターコンピュータって所に送られるらしい。 ヴィダリア王国って……ほんと凄いな……。 呑気にそんな事を考えて作業が終わるのをじっと待っていた。 カプセル室から出ると、ラウンジで待ってたのはティアじゃなくてカラちゃんだった。 「あ!!虹!!こっちこっち!」 昨日と同じ様に、ぴょこぴょこと跳ねて手招きされている。他の研究員の人達はカラちゃんの大きい声にもう慣れっこなのか、にこやかに微笑んでいた。

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