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第17話

部屋に着くと、ティアに手を引かれてソファに座らせられた。そして数分後、マグカップを2つ手にし、俺の隣に腰掛ける。 「どうぞ。一息入れようね。」 「ありがとう。」 あったかい。 中を覗くと、茶色い液体。 とても甘い香りがする。 なんだろう……? ティアを覗き見すると、美味しそうに飲んでる。 「あ、コレはねココアって言うんだ。甘くて美味しいよ。」 ココア……俺の故郷アークスには、無かった。 一口飲む。 「熱っ!」 思わず舌を出してしかめっ面をしてしまった。 ふと気配に気付いて顔を向けるとティアが目の前に居てびっくり……。そのまま……舌を……す、吸われてしまった。 そのまま深くなる口付けに、マグカップを持つ手が震える。 「や……っティア……。」 俺は焦って止めてもらおうと声を出す。 すると、少し上気した目尻の艶っぽいティアの顔が残念そうに離れていった。 「……虹……ダメだよ。無意識に誘わないで。」 「……えっ……?!」 「二人きりでパートナーに可愛い舌なんて出されちゃったら、我慢出来ないでしょ?」 う……そんなつもり……無かったんだけど…。 なんとなく、申し訳ない気持ちでマグカップを両手でぎゅっと掴む。 「驚かせちゃってごめんね。虹はもしかして、知らないかな?パートナーになったらお互いにしか欲情しなくなるし、性欲も強くなるんだ。」 「……え……そうだったんだ……。」 「うん。種の存続の摂理なんだろうね。動物的になっちゃうね。」 「急ぐつもりは無いから。虹が嫌だって思ったらさっきみたいに言ってね。」 ふぅ。と息を吐いてティアが立ち上がりキッチンへ。 俺はぬるくなったココアを飲み干しながら考える。 ……さっきはキスが嫌なんじゃなくて、……気持ち良くて、手に力が入らなくて…マグカップ落としちゃいそうで……。 うぐっ……。 上手く伝わらなくてもどかしい。 勝手に涙が溢れる。

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