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第22話
ティアの指先に力がこもる。
途端に襲いくる全身の硬直の後の……浮遊感。
「っ はぁっ……はっ……ぁ。」
肩で息をする俺の霞がかった思考の先……。
ティアが濡れた指先を眼前に現したところで……。
羞恥と驚きと解放感のふわふわで……
……意識が遠のいてしまった……。
────。
遠くで鳥の鳴き声が聞こえる……。
柔らかな光に瞼を刺激されて目覚める穏やかな朝。
これはデジャヴュ……?
「おはよう、虹。気分はどう?」
声がする方に顔を傾けると、朝日に照らされ、銀色の長いまつ毛がキラキラ輝いている綺麗な顔に出会う。
「ティア……。俺……。」
えっと、昨日はいつの間に寝ちゃったんだっけ…思案しているとニコニコ顔のティアが、俺の髪を優しく撫でながら開口する。
「虹は、精通まだだった…?」
「え?」
精通って……あの……アレだよね?
寝起きのボケボケした頭では、上手く説明出来そうもない……。
「……射精、慣れてないみたいだったから。」
俺の表情を推し量りながらも、サラッと恥ずかしくなる様な事をあっさり言ってのける。
俺はその手の話は、お国柄もあるかもしれないけど疎い……し……堂々と話してる人にも出会って来なかった。ヴィダリア王国の人は何でもオープンなんだろう…。うん、きっとお国柄!……一人納得する。
「……あの……朝起きたら……出てる……時があった……けど……。」
ううっ
いたたまれなくなってシーツを引っ張って頭までかぶる。
「夢精はあったんだ。……自慰はしなかったの…?」
……
自慰って……何だろう??
聞き慣れない単語に、シーツを目元まで下げる。
「……ほら、自分で性器を触って、精子出してあげる事だよ。」
……それって……もしかして、昨日の様なの自分でって事??
いやいやそんなのないない!!ぶんぶんと否定の頭を振る。
「…………?!」
俺の様子を見て、驚いてるのか、いや……呆れてるとも取れる表情を見せた後、一呼吸置いて、すごく嬉しそうにティアは微笑んだんだ。
────俺は不思議と、すうっと羞恥心が和らいでいくのを感じた。
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