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第24話
ここの学童には、幼稚部、小等部、中等部まであって、ほぼ研究所の職員の……人工母胎メグワンダから産まれた子供たちが通っている。
ティアは確か……小等部の先生だって言ってた気がするな。
螺旋階段を登り終えて一番突き当たりの教室の前にたどり着く。端っこの窓からそっと覗き込むと、中央に円形に組まれた机の真ん中にティアがいた。ドーナツ状に十数人の子供たちが並んで座り、先生の話を聞いてる所だった。
わぁ、ちゃんと先生なんだ……。話に聞いていても実際に見るのとは違うというか、雰囲気に圧倒されてしまう。授業の内容までは聞き取れないけど、しばらく見入ってしまった。
仕事をする大人の姿、特にいつも傍に優しい顔で居てくれた初めて見るパートナーの精悍な横顔から目が離せなかった。
憧憬と焦燥、少しの嫉妬心が入り交じった複雑な心境を感じて胸がチクリと痛んだ。
────優しい音のチャイムが鳴って、授業の終わりを知らせると、ドタバタと子供たちも教室を移動するんだろうか、教室の出口に向かって歩いて来た。
わわわ!
出口付近に居る俺はどうしていいか分からず、思わずカラちゃんの手を取って助けを求めてしまった。
子供たちがドアを開け、開口一番
「わぁ真っ黒!!」
俺の姿を見るなり女の子たちが騒ぐ。
「あ、先生の奥さん?!」
他の子が納得した様に問いただす。
そしてやっと傍に居たカラちゃんに気が付き
「カラちゃん、久しぶり〜!」
と言ってきゃあきゃあと寄ってきて俺たちはあっという間に子供たちに囲まれてしまった。
タジタジで何も話せない俺は、しどろもどろになりながら、傍に来ていたティアに視線を向ける。
その様子を、絶対楽しんでいたティアはやっぱりクスクス笑いながら
「皆、そろそろ移動しないと時間だよ、急いで。」
「え~〜!」
と不満を漏らす子供達の群れから外れた所に一人立ち、鋭い視線を俺に向けている女の子と、一瞬目が合ったけど……すぐに逸らされてしまった、、、。
……明らかに攻撃的な視線……。
だったよね……。
「じゃあね!皆 またね〜!」
という元気なカラちゃんの声で、賑やかだった教室の前は静けさを取り戻していった。
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