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第26話

◆◇◆◇ そんな訳で、朝の恒例のウェルランド博士とカプセル室への日参に、午後からティアの教室へ通うことが追加される事になった。 もちろん昼過ぎまではカラちゃんも一緒に。 夕方までみっちり子供たちの写真と資料を見ながら似顔絵を描き進める。 時折、子供たちはどんな性格なのか普段の様子を交えてティアやカラちゃんに伝え聞いたり、似顔絵といえど内面が表情に出るって俺は小さい頃絵を教えてくれた祖父に聞いていたから、少しの情報でも有難かった。 そうしてるとやっぱり親近感は自然と湧いてくるから不思議な感じ……。 ティアが1時間に1回休憩を挟んでくれて、飲み物を飲んだり、カラちゃんが居る時は俺の髪を結ったりしてくれたり。俺はカラちゃんの[お客さん]だからね! そんな日が数日続いて。 俺もずいぶん子供たちに慣れて、教室移動の少しの時間でのコミュニケーションが密かな楽しみになっていたり。 似顔絵を描き終わった子なんて昔から知ってた兄弟の様な感覚になる。もちろんプレゼントのことは秘密だから言えない……。凄くもどかしい。 そんな中、やっぱり俺に向けられる鋭い視線も健在で……。少し離れた所から、品定めする様な何だか見下されているような気がしないでもない。 彼女の名前は、……サキちゃん。頭脳明晰で責任感もあり、子供たちを束ねる委員長も務めている。12歳の女の子。そう資料に書かれていた……。まだ、一度も話したことはなかったんだけど、、、。 きっと、ティアのパートナーである俺の事が気に入らないんだろうなって予想はついていた。 俺は教室で一人ででも作業に取りかかれるようにはなっていた頃、サキちゃんと初めて話す機会ができたんだ。 教室に着いたら、ティアも居なくて、サキちゃん一人だけで。 「こ、こんにちは サキちゃん。一人でどうしたの?」 俺がそう声をかけると、キッと睨みつけられ、 「ティア先生と別れて!」 ────!!? いきなり過ぎて、しばらく返す言葉が見つからなかった。まさか、初めて聞いたサキちゃんの台詞がここまで衝撃的なものだったとは思いもよらず。 その後も、俺がお馬鹿な能天気者だったのに気付かされるには十分すぎる言葉が続いた、、、。

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