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第27話
「パートナーだか何だか知らないけど先生の事、何も知らないクセに後から来て奪うなんて許さない!」
「あんたみたいな真っ黒のチビのちんちくりんの事、先生が好きになるはずないじゃない!」
────。
頭の中がまっ白になった。
何も言い返さない……というか言い返せない俺に業を煮やし、涙目になりながら俺を一瞥して教室を出ていくサキちゃんを目で追うことすら出来ず、そのまま立ち尽くすしか出来なかった…。
……。
その後、どれだけその場に居たのか…放心してる俺を心配してティアが部屋まで送ってくれた。
サキちゃんに言われた事が図星過ぎて、ショックだった……。
でも、どう説明したらいいのか分からず黙りこくる。
何があったのかとか、どうしたの?とも聞かず、何も言わず寄り添うパートナー。
……ティアは優しい。
優しさに完全に甘えて俺は何も考えることも無く楽しく今日まで生活してた。研究対象の希少種のRナチュラルで、所員の皆にも歓迎されてるって、勝手に思ってた。
サキちゃんにあんな顔させるぐらい嫌われちゃってる事も、すごく悲しい。でも、それよりもっと……
パートナーと言う肩書きに胡座をかいて肝心な事に気付いてなかった自分が情けなかった。
俺はティアの事、何も知らない。
それに、ティアの気持ちを確認した事も……。
ティアが俺に「好き」って言ったことも今まで一度だってなかった事に気付いた時。
────頬を伝う、暖かいものが溢れ出て止まらなくなった。溢れれば溢れるほど、胸が切なくて苦しくなった。とうとう嗚咽までもが漏れて、ティアの胸に迎え入れてもらっても、一旦崩壊した堤防は、役に立つわけもなく……。
しばらく泣きじゃくる俺の背を撫で落ち着くまで待ってくれた優しいパートナー。
結局また……甘えてしまった。
罪悪感にまた涙腺が刺激されそうになったところで、ティアが俺の名前を優しく呼ぶ。
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