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第30話
偶然じゃない……?
ん?それって一体どういう……。
「あの時、虹を泉で見かけた時、僕は森に迷い込んでしまっててね。人に出会えた!って嬉しくて声をかけたかったけど……。」
あまりにも綺麗に泣いている……神秘的なオーラを纏った、まだ子供の虹に見とれてしまったんだ。
泉の水に濡れて、木洩れ陽にキラキラ輝く様は今でも脳裏に焼き付いてる。
────人に出会えたんじゃなくて、森の妖精に出逢ってしまった、、、そう ずっと思ってたんだよ。
「……えっ?!ちょっとティア、それは言い過ぎ……」
妖精とか……
そんな風に言われた事なんて一度だってないし…恥ずかしくて、ティアの顔を直視出来ない……。
…………ティアって……案外ロマンティストなんだ……初めて知った。
「集落の学童に着いてみたら、虹が生徒でRナチュラルの子だって聞いてね。運命だと思ったよ。」
「正直、性別なんて関係ないけど、Rナチュラルはヴィダリア王国の研究対象だからね、将来的にウチの研究所に来るのは分かっていた事だし。」
もちろん、虹が望めば、の話だったんだけどね。
────それから、僕は虹のパートナー候補になれるようにウェルランド博士に進言したって訳なんだ。
幸い、博士のお眼鏡にかなう候補だったようで本当に安心した。
でも……研究関連に私情はご法度だから……。
ちょっと今まで言えなくてごめんね?
正直頭がパニックで、一体何処をどう聞けばいいのか、俺にもわからなくなってて、ただ、
ティアがずっと、一目惚れした俺を思っててくれたって事らしい……のは伝わった。
「……ホントに?俺なんて真っ黒でちんちくりんだよ?……それにあれから、5年だよ、?」
「うん、5年長かったね。ずっと待ってたよ。虹は綺麗だよ。可愛いし、いい子だよ。僕の大切なパートナー。」
本当に、夢でも見てるんじゃないのかな…
俺は、研究対象で仕事なんだと思ってたからパートナーに、好きとか嫌いとかそういう感情持たないのが当たり前だと思ってたし、実際 サキちゃんに先生を取らないでって言われるまで、違和感すら湧かなかったのに……。
なんでこんな単純な事に気付かなかったんだろう。
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