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第33話
それから、時間もたっぷりあったから、朝からゆったりとお風呂に入って身支度を整え、ウェルランド博士の元へ向かうあいだの中庭の俺がお気に入りの芝生の上で、少しティアと話をした。
サキちゃんのこと。
ティアがちゃんと話をするから心配しないで、って。
俺が間に入るとややこしくなるのかな……って思って、ここはティアに任せようと素直に頷いた。
とりあえず俺に今出来ること精一杯やりたい。
卒業イベントまであと少し。
子供たちの似顔絵に集中しよう。
中庭で芝生の上に座って空を見上げると、木々の間から日光の明るさに思わず目を細める。
ヴィダリア王国の代表的珠玉の功績、人工的なドーム状の屋根は透明で、目を凝らしてみても肉眼では、判別出来ないほど透過されている。
柔らかな日の光に照らされて反射する、俺の隣のパートナーの銀色の髪がより一層キラキラと輝いている。
昨日までとは違った俺たち二人の空気に思わず胸が熱くなる。ずっと、欲しかった。
シンプルな気持ち。まだまだ小さな芽だけど、大事にしたい。
「虹、そろそろ行こうか。」
柔和な笑顔につられて、自分も笑顔になる。
新たな意気込みで、すがすがしく芝生から一歩を踏みしめ歩いた。
────
それから数日、無我夢中で卒業イベントの準備にかかりっきりで思わず、自分の本来の仕事を忘れ……て……しまっていたように思う。
皆、この時期は色々と忙しいんだろうか。
いつもより少し慌ただしさが伴った研究所の雰囲気を肌で感じつつ……。
ティアとの次のステップに進む間もなく、とうとう卒業イベント当日がやって来たんだ。
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