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第36話
「虹ぃ〜こんな所で寝ちゃ風邪ひくよぉ~」
いつの間にか本気で眠っちゃってた俺は……聞き慣れた声だけど、聞き慣れない話し方に違和感を覚えて目が覚める。
「もぅ〜虹はほんと可愛いなぁ〜」
寝起き眼で、声の主を見定めると、やっぱりティアだ。う……お酒臭い……。
「ティア、酔ってるの?」
その返事は無く、ふんふーんと鼻歌を歌いながら、俺を軽々抱えてベッドに運んでくれた。
すごい……イメージがいつもと全然違う……。でもすっごく楽しそうだ。
ベッドに下ろされると同時にティアも覆いかぶさってきて、キスをされる。
「虹ぃ可愛い髪型〜似合ってるねぇ。」
そう言ってたくさん編み込まれた俺の髪を撫でる。カラちゃんがやってくれるヘアスタイルはすっごく手が込んでて見たことないような編み方が多い。
せっかく結ってくれたのに、俺寝ちゃって……申し訳ないことしちゃったな……。明日謝らないと。
「ん〜可愛いぃ早く食べちゃいたい……。」
クンクンと俺の匂いを嗅いでそんな事言うティアにびっくりしつつ、いつも冷静でクールなティアが俺に甘えてくれてる気がしてちょっと嬉しかった。
ティアの頭をいつも俺がやってもらってるように、ナデナデしてみる。
そしたらティアが気持ち良さそうに俺の胸の上で目を閉じる。
こんな一面もあったんだ……。
なんだか大きな猫みたいだな……って思ってしまって、自然と笑みがこぼれる。
しばらくそうしてると、ティアが寝息を立て始めたので俺もまた、一緒に寝ちゃったみたい。
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次に目が覚めると、外はもう明るくなっていて、何やら物音が近くから聞こえる。
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