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第53話

半分夢の中に居るような感じだった……。 時折、優しく俺の名前を呼ぶティアの声、暖かい体温、甘美な痺れと、心地よい倦怠感……。 覚えてるのはそれだけだけど、とにかくティアとの初めての夜は幸せだったよ。 予想以上に長かった気がするけどね……。 ……っていうか、しちゃった……セックス。 急に恥ずかしくなって来ちゃって、照れてると何だかクスクスと聞こえてきた。 「ふふ……どんな夢、見てるの……?」 その声にハッとして目を開けると。 綺麗なパートナーの銀色の髪が陽の光に照らされてキラキラ光っていた。 「?!」 思ってた位置より陽の光が高い…… 今、何時? 「!!」 あっ!朝の検診……って言おうと思ったけど、寝起きだからか声が出ない……。 「大丈夫、博士達には遅れるって伝えてあるから。」 あ、そうなんだ……。と胸を撫で下ろしつつ身体を起こそうとするも、腕に力が入らずにガクッと崩れ落ちる。 サッとティアに抱きかかえられてあったかい体温にまたドキリとしちゃう自分にびっくり。 「ごめんね。昨晩、余りにも虹が可愛すぎて、止められなくて……無理させちゃった。」 申し訳なさそうなティアの表情に大丈夫って言いたかったけど……あれ……やっぱり声が出ない……。 「……っ……ぁ゛……。」 おかしいな……って思って声を出すのに集中する。 「あ、無理に出さないで。担当医に喉にいい薬頼んであるから後で取りに行こう。」 俺はコクリとうなづく。 ……風邪……引いちゃったのかな……そういえば全身もダルいし腰が痛い……。お尻もなにかずっと……挟まってるような感じで何だか皮膚もちょっとヒリヒリ痛い気がする……。 ──── それから、ティアが用意してくれてた暖かいスープと柔らかいパンで食事を摂る。 椅子に座らせて貰うと、今まで無かった真ん中に穴の空いた変な形のクッションが敷かれていて、お尻が痛くなくてほっとする。 何だか、ただの風邪?なのに至れり尽くせりで申し訳ない感じ……。

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