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第54話

「そろそろ、博士の所に行こうか。」 ぎこちなく立ち上がろうとする俺を、素早く横抱きに抱えあげるティアに慌ててブンブン首を振る。 待って!この状態で外はいくらなんでも恥ずかしいよ……。 「大丈夫だよ。この時間なら人通り少ないから。」 恥ずかしがる俺を見えないように大きなストールで巻いてくれて、にこにこ嬉しそうに笑うティア。 うう……。 その笑顔に負けて言う通りにお姫様抱っこのまま、博士の研究室に行く事をしぶしぶ承諾。 俺達の住居の紅の部屋のドアを開けた瞬間、ちょうど帰ってきてた蒼の部屋の二人に出くわして、、、 ぎゃ!!って心の中で叫ぶ俺……。 青海とレキはティアに抱っこされてる俺をまじまじと見つめて、 「あ、あんた 無事にヤられたんだ。お疲れ様。」 「虹、ちゃんと話し合えてよかったな!おめっとさん!」 ……もっと何かからかわれるものだと思ってた俺は二人の労いの言葉に拍子抜けする。 ストールを頭からかぶってた俺は少し顔を出して、蒼の部屋の二人の顔をチラッと伺う。 「ふふ、ありがとう。青海、レキ。」 「でも青海、ヤられた、じゃなくて愛し合ったって言って欲しいな。」 って、意味深に俺の顔を見てニコリと微笑むティア。 俺が思ってる事全部代弁してくれたから、ティアにつられて俺もニコリと微笑む。 「ハイハイ、ご馳走様。」 その様子を見て、呆れたように大袈裟にため息を吐く青海を宥めながら、レキがワハハと豪快に笑う。 「これから博士んとこだよな?邪魔して悪かったな。」 じゃ!と、二人は自分達の部屋に入っていった。 あったかい腕に抱かれながら、恥ずかしいけど……くすぐったいような幸せを噛み締める俺……。 そして、気付いたらウトウトしちゃってたらしい……。

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