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第57話
俺の為にそこまでしてくれてたのは今は素直に凄く嬉しい。
でも……俺がヴィダリア王国に来るのを拒んだり、パートナーの儀式が成功しなかったりしたらどうなってたのかな……。
「薬塗って、今日はゆっくり休もうか。」
ifの思考を遮るようにティアが優しくベッドに寝かせてくれた。まずは飲み薬から。
喉に良いっていう甘い液体。
次は俺の身体の赤くなってる箇所へ塗り薬を塗布。
労わるように優しく、さっきカプセル室で恥ずかしい思いを存分にしたからなのか、処置してくれるティアを凄く冷静に眺める事が出来た。
寝室に柔らかく差し込む陽の光に照らされてキラキラ光る銀髪や、伏し目がちな目元を彩る長い睫毛と通る鼻筋。薄い唇は透き通るような白い肌とは対照的に色付いて聡明さを醸し出す口角に柔和な雰囲気ながらも熟れた立派な雄の喉元。
ずっと見てても飽きない完成された美しさに見惚れる。
本当に綺麗で、カッコイイな…。
俺にはもったいないパートナー。でもずっと一緒に居たいよ。
……そんな事を考えていたらだんだんふわふわしてきて気持ちよくなってきた。
────
いつの間にか眠っていたのだろう。
なんと、目が覚めたのは次の日の朝だったからさすがに俺もビックリだったよね。
「おはよう、虹。調子はどうかな?」
そしてやっぱり俺の傍に居てくれる優しいパートナーの声に安堵。
「うん、平気……凄く楽だよ。」
身体のだるさやお尻の違和感も全て綺麗に消えていた。
「良かった。声も出てるね。」
!あ、ほんとだ。
ヴィダリア王国の薬の効果……凄いな……。
グゥウウウウ────。
ぎゃっ!!?
「ふふ。お腹も元気だね。すぐに朝食準備するね。」
朝食にしては、ボリュームの多い、でも食べやすい食材をふんだんに使ったティアご飯に大満足で幸せを噛み締めていると、
「今朝の検診はお休みだからね、今日一日様子見で部屋で留守番お願い出来るかな?」
「うん……大丈夫、ティアは出掛けるの?」
「レキと一緒に仕事の準備に隣街に行くんだ。夜には帰るから。昼食は届けて貰うように言ってあるからね。」
そっか…。シュンと項垂れる俺を見て、優しく頭をポンポンと撫でてくれるティア。
────コンコン。
部屋がノックされてドアの外からレキの声が聞こえる。
「……じゃあ行ってくるね。」
不意に綺麗な顔といい匂いが近寄って来て、唇に触れてすぐに去っていった。
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