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第58話

◆ ティアが出掛けてから…しばらくはベッドで大人しく横になってたりしたんだけど、もうさすがに眠れないし、身体が元気になっちゃってるもんだからじっとなんてしてられない……。 さすがに外に出るのはダメだよね……。 一人で悶々としていたら蒼の部屋のドアの閉まる音が聞こえた。 検診終わって帰って来たのかな……。 レキと出掛けるって言ってたから、青海も一人なんだよね?! 居ても立っても居られず、蒼の部屋をノックする。 しばらくすると、青海が出てきてくれた。 「……ああ、あんたか……何?」 「あ……あの……えっと、、、。」 そう言えば、特に用事らしい用事なんて無かったんだった……。 もじもじしてるだけの俺に、察してくれたのかため息をつきながらも青海は部屋に入れてくれた。 「どうせ、ティアに部屋で大人しくしてるように言われたけど暇だったんでしょ。」 図星……に愛想笑いで返すしかない俺……。 「身体平気なの?薬効いてるだけだと思うから無理しない方がいいんじゃない?」 ……。 (青海って言葉は素っ気ないけど優しいんだな……。) 心の中でそう言ったつもりだったけど、、、。 「思い過ごし。」 って言われてハッとする。 えっ?! 俺、何も言ってないよね?! 狼狽しまくる俺に青海は続ける。 「僕、人が思ってること表情見てるとだいたいわかるから。」 「えぇぇ?!青海って超能力者なの?」 思わず青海の両手を取り握りしめる。 「そういうんじゃないけど、何となくだよ。手離してくれる?痛い。」 「わっ!!ごめんっ!でも……す……凄いね!!」 鼻息荒く興奮する俺に、ソファーに腰掛けるように促してお茶を出してくれる青海。 「別に、心が読めてもいい事なんてないよ、それに誰の心でも分かるわけじゃない。」 「……そ、そうなんだ……。」 何となく辛そうな表情の青海に、俺の勢いも削がれて冷静になってしまった。 「あんたとレキの心は分かりやすい。……ティアは分かりにくいな。あんたに向ける感情はダダ漏れだけど。」 ふぅ、と ため息をつく青海。 ふわふわの長めの薄いピンクの前髪に隠れ気味な綺麗な透き通る青い目。豊かな睫毛に彩られた印象的な目元に深く縁取られた………隈が、気になってしまった。 疲れてる? 眠れてないのかな? 「青海、一緒に寝よ?」

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