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第60話

抵抗を止めた青海がボソリと 「あんたって見かけによらず頑固だよね。」 改めて言われたことなかったけど、確かに……そうかもしれない……。変なところ譲れない時があるんだよね。 「青海、夜眠れてないんだよね?身体休めないとダメだよ!」 俺の言葉に、呆れた様な諦めたような素振りでため息を吐く青海。 「……あの、性欲魔人が寝かせてくれないんだよね…。体力ありすぎ……。」 え……?! そうなんだ……。 ……それって毎日レキと仲良ししてるって事だよね? でも……あの意外と鋭いレキが、青海の身体気遣えないはず無いと思うんだけどなぁ……。 「……あんたあったかくていい匂い……。うちの母親思い出す……ねぇ…ちょっと、昔話に付き合ってよ。」 「うん…。」 背中のトントンは、ナデナデに変えて青海の話に耳を傾ける。 小さく呟く様に話してくれた青海の過去は俺が到底知る由もない過酷なもので、、、。 ────貴族の家に産まれた青海は、小さい頃Rナチュラルと判明してよその貴族の養子とされ家を出されたそうだ。養子とは名ばかりでその扱いは酷いものだったそう。 主人の言いなりで歯向かうことなど許されない状況での生活に希望もなく過ごしていた所、ヴィダリア王国に引き取られたんだって……。 人の顔色で心を読めるようになったのもそういう経緯があったんだろうな。 きっと……辛くて不安で……。 眠れてない理由もちょっとは関係してるんじゃないのかなって……。 ……俺が涙で目が霞み出した頃には、青海は規則正しい寝息に変わってて、安心するやら、切ないやらで一人大忙し……。 自分は故郷アークスでずっと親兄弟たちや友達に恵まれて何不自由無く生きてきたことに改めて感謝する機会にもなって、……ぐすぐすしながらもぐるぐると想い出に耽り……感情がキャパオーバー……。 目の前にいる青海の寝顔はとても穏やかで、今の生活が青海にとって居心地のいいものであればいいな……そう思ってるうちに……だんだん青海の体温と規則正しい寝息に誘われて……。 いつの間にか一緒に眠ってたみたい……。

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