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第61話
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美味しそうな匂いに脳が反応して目が覚める。
そこには、暖かい視線が二人分……。
今にもクスクスって声が聞こえて来そうな笑みを浮かべて俺の傍にティアの顔が。
反対側の青海の傍にはレキの姿が。
気付くと青海と二人で抱き合って眠ってたようで、、、。
わわ!!
慌てて抱きしめてた腕をどける。
青海も今しがた目を覚ましたようで目を擦りながら周りを見渡し呑気に おはよう って言ってる。
「二人の天使の寝顔に癒されたね。レキ?」
ティアがそう声をかけると、レキは眉尻を下げて
「ああ。」
って、嬉しそうな……でも少し申し訳なさそうな表情で笑う。
「さぁ 夕飯出来てるから、一緒に食べよう?」
昼食食べてから、青海と寝てただけなのにちゃんとお腹空いてて自分でもびっくり。
ティアの作るご飯はきっと別腹なんだよ。
昼間は食欲無さそうだった青海も、すごくたくさん食べてる。良かった。顔色も良くなってる。
何よりも四人で夕食食べるなんて初めてで嬉しい。
自然と顔もほころぶ。
……ってかレキの食べる量が凄い……。体も大きいし筋力もありそうだから納得だけど……。
そういえば、青海はレキと毎晩仲良ししてて眠れないって言ってたよね。
研究対象としてヴィダリア王国にやって来てるんだからとても仕事熱心で褒められる事なんだろうけど、青海が心配になっちゃう……。
「今日は、レキと一緒に隣の国の研究機関に行ってきたんだよ。」
隣の国────タム共和国。聞いたことはあるけどもちろん行ったこともない、知ってるのはヴィダリア王国と並んでナチュラルやRナチュラルの研究が盛んだって事くらい。
「Rナチュラルに関してはタム共和国と合同研究となっているからね、症例報告やらを兼ねてこれから定期的に行くことになると思うんだ。」
「あと、今回はすごくいい薬を貰えたんだよ。」
詳しくはレキに聞くといいよ。
青海に向かってそう告げるティア。
レキはニカッと笑って青海の肩を抱くも、
青海は変わらずのポーカーフェイスで食後のお茶を楽しんでいた。
俺は仲良さそうな二人を見て嬉しくなっちゃってると、ティアが俺の肩を抱き寄せてギュッてしてくれた。
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