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第3話
俺が渚に恋したのは―――二週間前のあの日、渚が初めて学園を訪れたときだった。
『渚、そのメガネはなんですか』
『これ? ほらこの学校ってみんな頭いいんだろ? だからちょっとでも頭よく見えないかなーってかけてきたんだよ』
『だっさいよー、なぎなぎ~』
『そういうなよ。いーだろ、黒縁!』
『丸過ぎだよー! へーん!』
『うっさいな~!』
『メガネいいけど、相変わらず髪ハネまくり』
『はいはい、もうお前らうざい!』
転校生の情報を見た副会長たちが『渚だ』と騒ぎ出し勝手に迎えに行ったあの日。
俺はたまたま廊下でみんなに出くわした。
双子書記にメガネを笑われ会計に髪引っ張られて、少し怒ったように"ウザイ"って言いながら楽しそうな彼ら。
美形揃いのメンバーの中では少し平凡だけれどすっきりとした顔立ちの転校生。
会計が言うように髪は少し癖っ毛で外ハネしていて、それが可愛い。
アーモンド色の瞳が綺麗で、笑顔がとても輝いていて俺は知らず立ち止まって転校生を見ていた。
そしてふと視線に気づいたように転校生が俺を見て目が合い―――俺のハートは撃ち抜かれた。
簡単に言えば、一目ぼれだった。
***
昼飯を食ったあとはそのまま和佐の部屋でゲームしたり漫画読んだりして過ごした。
生徒会長って肩書きはあっても普通の男子高校生だしな。
スナック菓子食いながらバスケ漫画の最新刊を読んでいたら部屋の電話が鳴る。
「はーい、三宮です。――はい。わかりました」
あっさり電話は切られて和佐が俺を呼ぶ。
「なんだ」
「いまから荷物が来るんだってさー」
「なんの?」
「この前母さんが健康のためになんか送るって言ってたんだよねー」
「ふうん」
なんだろうな、と特に気にもせず俺と和佐はまた漫画を読むのにハマって、数分後インターフォンが鳴った。
そして―――俺の未来を左右するある意味"出会い"が訪れたのだ。
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