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act.1誘惑クローバー<48>

「今頃月島とランデブーちゃうの?いや、会長も混ざっての3Pかもな?あかんあかんあかん、想像しただけて勃っちゃいそ。な?京介」 「てめぇ、調子のんな。葵どこ行った?」 「さーあ?今頃鬼畜二人に攻められてパラダイスにおるかも。はぁぁ、俺も混ざりたいなぁ。って……あれ?京介?」 幸樹が繰り広げる馬鹿な妄想にこれ以上付き合うつもりはない。 行方を知らなそうな、いや知っていてもなかなか話す気がなさそうな幸樹を放って屋上を出た京介は、葵を探す場所を寮か生徒会室にしぼった。櫻が葵を、となるとそのぐらいしか場所が思いつかない。 とりあえず屋上から近いほうに向かうことにした。特別棟にある生徒会室へ。 けれど、特別棟の玄関口にさしかかったとき、息を切らして中から走って出てきた生徒とぶつかりそうになった。 「うおっ……おい、都古?」 すぐにその相手が同室である都古だと分かった京介。だが生憎都古のほうはぶつかりそうになったことにも、それが京介だとも気付かずに走り去ろうとする様子だ。だから京介は慌てて都古の腕を掴んで引き止めた。 「葵探してんのか?」 都古の腕から伝わる体温は、ずっと走り回っていたことを示すようにひどく熱い。それに普段ほとんど動かずに猫のように丸くなっている都古が、息を切らして額に汗まで浮かべてるとなると自分と同じように葵を探しているとしか思えなかった。 「京介……そ、アオ、いない。会長が……どうしよ、アオ、アオが」 やっと京介に気付いた都古は、荒い呼吸を整える間もなくそう告げた。顔は火照った体とは反対に真っ青である。 今は呼吸が荒いせいもあるが、都古はいつも単語単語を途切れさせて喋る。思ったことを言葉に変換し口に出すのが大の苦手らしい。 おまけに激しすぎる人見知り、いや、人嫌いもたたってなかなか喋りを上達させる機会もない。そして人間不信も患っている。そんな都古が唯一心の底から懐いているのが葵だ。 その葵の行方が分からないとなると、都古が相当に不安や恐怖を感じるのは無理もない話だ。 「会長?副会長じゃなくて?つか、とりあえず落ち着け都古。俺も探すから」 京介はそう言って都古の呼吸を整えさせることを先決させた。 葵は周りの注意が頭に入っていないのか、しょっちゅう消えてしまう。一人で小鳥と戯れているときもあれば、誰かに乱暴されかけているようなときもある。そのたびに走り回って必死に葵を探す都古の心臓はいつも休まらないだろう。

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