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act.2追憶プレリュード<3>

「あれ、つーか、都古、お前荷物は?何も持ってかないつもりか?二泊すんだぞ」 三人並んで学園からの最寄り駅へと歩く道すがら、手ぶらで葵にくっついている都古に違和感を覚えた京介がそう問うてみるが、返ってきたのは気が抜ける答え。 「アオのに、入れてる」 「……つーことは、これ二人分な。じゃあお前が持てよ」 まさか京介が持ってやっている葵のカバンに忍ばされているとは思わなかった。都古の荷物持ちまでやるつもりがない京介は、空色のカバンを都古に押し付けた。 とはいえ、葵のカバンの中に入っている都古の荷物といえば、浴衣と替えの下着ぐらい。身なりに無頓着な都古の荷物の割合などどうせ大したことはないと京介も分かっているが、それでも荷物持ちにされるのは癪だ。 手が塞がれれば葵に引っ付けなくなると嫌がる素振りを見せた都古だが、葵が自分で持つと言い出したから、阻止するためにも京介の手からカバンを受け取らざるを得なくなる。 学園の最寄り駅までは歩いて15分程度。道中の会話は自然とこの後の歓迎会の話題になる。 基本的に新入生との親睦を深めることが目的のイベントだから、部活動紹介の他に、二年、三年生が新入生とペアになってゲームに挑んだり、グループになって食事を取ったりと、交流する行事が盛り込まれている。 上下関係が厳しい学園だから、このイベントを楽しみにしている新入生は多い。 忍、櫻は生憎後輩と交流しようなんて気はサラサラ無く、イベントの内容を大幅にリニューアルさせようとしたのだが、奈央や葵の反対にあい、結局前年度までの恒例イベントをなぞる内容となっていた。 「去年はみゃーちゃん来れなかったから……今年は楽しもうね?」 「アオと、ずっと、一緒?」 「うーん…生徒会のお仕事あるから、ずっとは難しいけど。でもなるべく長く居られるようにするからね」 昨年の歓迎会では、都古は家から泊まりでの行事参加の許可が下りずに欠席だった。それを慮って葵が都古を見上げれば、相変わらずの甘えん坊な発言。

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