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act.2追憶プレリュード<109>*

「まだ服の上から突いているだけなのに。随分感じやすいな?」 数度シャツ越しに指を這わせれば、最初は柔らかな感触だった小さな胸の突起はぷくりと起ち上がってきた。もう布越しでも簡単に分かるぐらい存在感を示してきてくる。 「あ……ん、んッ…や、だ」 「嫌?嘘をつくなんて悪い子だな、葵は。嫌ならこんな風に尖らないぞ」 「やぁぁ、ん」 忍が聞き分けのない葵を躾けるようにキュッと突起を摘んで見せれば、初めての強い刺激がすぐに快感に変わって葵の体を貫く。 触られていないはずの下半身にまでゾクリと伝わるそれは、葵にとっては不可思議な現象でしかない。 敏感な場所を人質に取られロクに抵抗が出来ない葵の様子を見て、忍は更に指の腹で下から上へ擦り上げたり、かと思えばまた親指と人差し指で挟んでくりくりと弄ったり、左の突起だけをただ執拗にいじめ抜く。 空いた手は腰から柔らかな尻にかけて馴染ませるように繰り返し撫で回しているだけでなく、首筋に落とした忍の唇は性感を煽るために音を立てながら啄み続けていた。 忍がようやく指の動きを止めたのは、葵の桃色の唇からあふれる嬌声がだんだんと啜り泣きに似たものに変化してからだった。 「きっとシャツの下は真っ赤になっているだろうな。見てみようか?」 「あ、だめッ」 「大丈夫、少しボタンを外すだけだから。こんな所でお前の肌を晒させないよ」 まだ忍は葵を解放する気はない。脱がされまいと抵抗する葵の手を器用に避けて、きっちりと上まで留まっていたボタンを三つほど簡単に外してしまった。この手慣れた動きは、学園一のプレイボーイだった忍でしか為せない技だ。 忍がシャツを左右に割り開けば、一切日に焼けていない肌とそこに存在する胸の突起が見え隠れする。 「ほら、やはり赤くなってるな。葵、見てごらん?」 楽しげな忍の声に促されて葵が恐る恐る視線を落とせば、忍が苛め抜いた左側の突起は宣言通り、真っ赤に熟れてツンと存在を主張していた。 自分の体の変化を見せられて恥じらう葵に笑いながら、忍はもう一つの突起を突いてみせる。 「どうして触っていないはずのココも赤いんだ?」 本来肌に溶けそうな程淡いピンク色をしたそこは、左ほどではないが充血しているように見える。 最初は自然に反応しただけかと思って笑みを浮かべた忍だが、すぐ近くの肌にほんのりと色づく鬱血の痕があることに気付いた。 「そうか、先にココを可愛がった奴がいるんだな。西名か?いや、違うな。朝にはなかったはずだ」 明らかなキスマークであるそれを見つけ、忍は沸々と嫉妬の念が湧き上がってくることを感じた。でも犯人が分からない。

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