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act.2追憶プレリュード<120>
* * * * * *
別館の談話室には生徒会のツートップに加え、京介、都古という異色の組み合わせが揃っていた。
葵が中心に収まってさえいれば自然なものになるが、生憎葵は不在。だが、彼らの話題はやはり今頃二階で眠りについているであろう葵のことだった。
「今度からこういう輩が現れたら生徒会に共有してくれ。いくらでも対処のしようがある」
「アンタらに相談したら大事になるだろーが。それが嫌だからこっちで対応してんだよ」
忍が示したのはバスケ部安達が出した葵へのラブレターだった。
シックなデザインのテーブルに載せられたそれはこの場の全員がすでに目を通してしまっていた。まさか送り主はこんなにも大勢の人間に読まれるとは思ってもみなかっただろう。
「で、結局大事になってるじゃん。葵ちゃんが西名使って安達を振ったっていう噂が広まってるのはどう責任とるわけ?未だに葵ちゃんなーんにも理解してないみたいだけど?」
生徒会を役立たずと言わんばかりの態度を取られると、櫻の口調も自然ときついものになった。足を組んでソファにゆったりと腰掛ける姿は、その口調と合わさって彼の呼び名の通り、一国の女王のようである。
「そもそも、こんな普通の告白ぐらい本人にちゃんと断らせればいいと思うけどね。別に危害加えようってわけじゃないでしょ?文面見る限り」
櫻の言う通り、昨年キスをしようとしたことを詫びる部分が気にかかるぐらいで中身はごく普通の告白である。子供っぽいと言えど、葵だって高校二年生。自分で告白の対処ぐらいさせればいいと櫻が主張するのも無理はなかった。
京介の今回の対応はあまりに過保護すぎる。
「まぁしかし、あの双子の告白も全く理解していないようだから、葵がきちんと断れるかは疑問だがな」
「告白?あいつら、アオに?」
忍が櫻の意見に対して京介の肩を持つようなことを述べれば、今まで黙りこくっていた都古が初めて反応を見せた。つまらなそうに外を眺めていた彼からは、あっという間に聖と爽への殺気がにじみ出てくる。
「アオは?何て、言った?」
「落ち着け馬鹿猫」
忍を掴みかからんばかりにテーブルに身を乗り上げる都古を引き止めるのは、隣に座っていた京介の役目。遠慮なしに彼の纏う浴衣を引っ張って席に座らせ直した。
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