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act.3君と星の世界へ<15>
* * * * * *
葵の好きなものばかりを詰め込んだ部屋。その中でも一際目立つのはぬいぐるみや絵本が集まっているベッド。部屋の主の許可を取らず勝手にファンシーなベッドに寝転がっている京介は、フォトアルバムを手にしていた。
葵がベッドサイドの引き出しに大切に仕舞っている思い出が詰まったアルバム。
はじめは写真を撮られることをひどく嫌がって、家族写真も葵だけ京介の背中に隠れていることが多かったが、写真が楽しい思い出を記録するものなのだと教え込んでいく内に笑顔が増えてきた。
去年から輪に加わった都古との2ショットが出てくると少々腹が立ってくるが、最後のページに貼られていたのが春休みに葵と二人で出かけた動物園での1枚だったことが京介の心を落ち着かせる。
しかしこれで時間を潰せるものがなくなってしまった。葵が好んで読む絵本は京介の趣味ではないし、学習机に置かれている宿題も視界に入れたくはない。
風呂に行った葵の帰りを待っているのにも飽きた京介がそろそろこちらから迎えに行こうか。そう考え始めた時、ゆっくりと部屋のノブが回された。
けれど、現れたのは葵だけではない。
「あれ、京介。なんでここに居るんだ?」
入ってきたのは葵を腕に抱いた冬耶だった。冬耶も葵のベッドの上で京介が横になっているとは思わなかったらしい。少しだけ驚いた顔をしている。
だが、ずっと同じ家で育ってきた兄弟。京介の考えていることは兄にはお見通しのようで、すぐに愉快そうな笑顔を浮かべ直した。
「あぁ一緒に寝ようと思ったのか。ほら、じゃああーちゃん抱っこしてあげて」
京介が反論する隙も与えず、冬耶はそう言って葵を差し出してきた。こうして譲られれば、京介も否定する気は起きない。ありがたく葵を受け取って自分の腕の中に収めてみせた。
葵はすっかり眠りに落ちているようで、移動させられてもちっとも目を開かない。葵の眠りの深さを確認した冬耶は、ベッド下の柔らかなカーペットに腰を下ろしながら、表情を正して京介を見据えてくる。
「なぁ、あーちゃん、何があった?おつかい、失敗しただけじゃないだろ」
冬耶は尋ねておきながら、どこか確信しているような口ぶりだ。けれど、京介も詳しくは葵から聞き出せていない。
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