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act.3君と星の世界へ<20>*

とうとう堪えきれず、京介は体を起こして葵に覆い被さる姿勢を取ると、深く唇を合わせた。自分でも余裕がないと苦笑いしたくなるほど性急なキス。あっという間に、葵からは降参を示すかのように胸を叩かれるが、簡単に離してやるつもりはない。 逃げ惑う小さな舌を追いかけながら、弱い上顎や頬の裏の柔らかな粘膜をえぐるとじわりと温い唾液が溢れてくる感触がする。最初は涙だけで湿っていた唇も、もう涙とは比にならないほど濡れそぼっていた。 けれど、更に葵の唇を濡らすようにまた、己の唇を深く深く重ねていく。 「ん…んッ……ふぁ」 真上から落とされるキスをうまく捌けないでいる葵は、少々酸欠気味なのか隙を見て懸命に息継ぎをしながら京介にすがりついてきた。 十年越しの思いはそう簡単に満たされてはくれない。京介はあくまで唇を重ね続けながら、次のおまじないの場所を露わにするため、葵のパジャマのボタンに手をかけていく。 葵を脱がせることも京介にとってはもはや慣れきったこと。あっという間に真白い上半身がランプの光に照らされてしまう。 形の良い鎖骨。うっすらと浮き出たあばらとそれを覆う滑らかな肌。そして何よりも魅力的なのは淡い色をした胸の尖り。まだ存在を主張していないそれは柔らかく色づいている程度。 キスの角度を変えながらそれを確認した京介は、葵の腰から脇腹を経由して上らせた指先でするりと胸元を触ってみせた。 「あっ…や」 「ここもするか?」 ただ通過させただけの指に大げさなくらい体を跳ねさせた葵に、ようやく口付けを解いた京介は次のおまじないの場所を示すためにツンと指で突起を弾いてやる。するとまた、ピクンと華奢な体が震えた。 キスが途切れたせいで無防備になった唇は、京介の一挙一動で簡単に愛らしい嬌声を漏らしてしまう。それが嫌なのか、葵はすぐに自分の手で口を押さえ、堪えるような仕草をする。 ここが家でさえなければ、京介はすぐにでも照れ屋な幼馴染の行動を咎め、手首をシーツに縫い止めただろうが、生憎同じ階には葵に頬へのキスしか出来ないでいる兄がいるのだ。 「葵、今日はそうやっていい子に押さえててな。兄貴にバレたらやばいから」 京介が言い聞かせれば、葵はコクコクと大人しく頷き返した。 きっと冬耶にバレたらいけない理由を、葵は勘違いしている。二人の秘密の行為が外に漏れないよう、”おまじない”のことを誰かに知られたら効果がなくなるなんてルールを作っているからだろう。

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