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act.3君と星の世界へ<36>
「他に共通していたのは皆身寄りのないプラチナブロンドの子、ということ。それが何を意味するのか気になって調べていく内に彼に辿り着いた」
彼、そう言って宮岡は記事の中の馨を指差した。
「更に彼の過去を探っていって、葵くんに行き着いた。そこでやっと藤沢馨の行動の意味が分かったんだ。彼は葵くんを手放したあと、きっと代わりを作り上げようとしたんだろうね」
あの男は未だにイカれているらしい。嫌な話を聞いて京介は胸に込み上げてくる吐き気を必死に押さえ込んだ。
「その気味悪い話聞かせるために親父に会おうとしたわけ?」
「そうじゃない。この記事が何を示すか、分かるかい?」
宮岡に質問をし返され、京介はもう一度記事に視線を落とした。けれど、記事にはやはりただ社長として功績を残した馨が退任することぐらいしか読み取れない。
無言で宮岡を見つめ返せば、彼は葵がまだ眠りについていることを目視で確かめると、ようやく答えをもたらしてくれた。
「グループ会社で実績を残した彼が次に向かう先は?まだ発表はされていないけれど、私はきっと本社だと思ってる」
「本社?ってことは」
「そう、彼が日本に帰ってくる。もしくはもう帰ってきている。それを伝えたかったんだ」
あくまで予想だと言うが、宮岡の口調は確信めいていた。
「今までも時折帰国していたけれど、きっと今回は違う。日本に腰を据えた彼が何を求めるか。嫌な想像しか出来なくてね」
言葉を濁されたが、宮岡が何を言いたいのかは京介にも分かる。葵に似た人形を作ろうとして何度も失敗した馨が日本に戻ってきてすることは、本物を取り返しに来ることではないだろうか。
「でもアイツは葵を置いていったんだ。今更そんなこと」
「警戒するに越したことはない」
可能性を否定したがる京介を咎めるように少しだけ宮岡の口調が強くなった。やはり彼はそれ以上のことを知っているように思える。
「葵くんはどこまで覚えてるのかな」
「さぁ。でも父親のことは滅多に口にしない。思い出すのは母親のことばっか」
「そう……シノブくんのことは?」
「アンタ、そんなことまで知ってんのか」
著名人であった葵の両親のことを調べることは出来るだろうが、もう一人の家族の存在は表向き調べようがないはず。指摘すれば宮岡はおどけたように肩をすくめてみせた。
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