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act.4哀婉ドール<44>*

「ひッ、んん」 「可愛い。キスだけなのに、もうここ、張り付いちゃってるね」 膝を立てて侵入を拒もうとするが、それよりも早く櫻の指先が葵の隠したかった脚の付け根に辿り着いてしまう。下着をなぞられると、櫻の指摘する通り濡れて張り付く感触がしてくる。 「やだッ、そんなとこ、だめ」 「どうして?葵ちゃんがキスで気持ち良くなってくれた証でしょ?」 そう言って、櫻はまたツンと下着の越しに葵を突いてくる。直接でなくとも敏感な場所を触れられれば、またじわりと何かが溢れ出てくる気がした。 「気持ち、良い……って?」 「え?まさか、分かってないの?ここ触られてるんでしょ?二人には」 葵が気になるのはこの腰が震える感覚を”気持ち良い”と表現されたこと。櫻には呆れた顔をされるが、分からないものは仕方ない。 京介からはあくまで悪夢を見ないためのおまじないと教えられているし、都古からは猫らしく全身舐めて甘えたいとねだられているだけ。それが気持ちの良い行為だなんて知らなかった。 「まぁいいや。そっちのほうが美味しいし、僕が教えてあげるね。葵ちゃんが気持ち良いって感じたら、ココが反応するの。自分で触ってごらん?」 「や、いや、待って」 抵抗虚しく、櫻に掴まれた右手はいつのまにか腰まで捲りあげられたスカートの中へと導かれてしまう。 「ん…あッ、やだ…んッ」 「ほらココ、濡れてるの分かる?」 櫻の示す箇所に到着した指は、確かに布からじんわりと何かが滲んでいるのを捉えた。そして、ただの体の器官だと思っていたその部分が硬く、芯を持っているのにも気づいてしまう。 自分でその状態に触れるのは初めてだった。 「なん、で…こんなの、知らない」 「葵ちゃんは自分で触ったこともなければ見たことないの?」 葵が素直に頷けば櫻は綺麗な顔にどこか淫靡な色を漂わせて更に微笑みを深くした。そして葵の指ごと、櫻が手を動かし始める。 「あぁ…んッ…や、はな、して」 下着越しに掴まれたそこは葵の手の中でピクンと脈打った。形をなぞるようにただ優しく手を上下に擦り上げる、それだけでまた先端から何かが溢れては下着を濡らしていく。 でも得体の知れない感覚に濡れるのは下着だけじゃない。眼尻からもいつのまにか涙が零れ始めていた。

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