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act.4哀婉ドール<45>*
「これでもうこんなに硬くして。直接触ったらどうなっちゃうんだろうね」
「やだ…触っちゃ、だめ」
「でも、こんなにびしょびしょのまま着替えたら服、汚しちゃうよ?」
ここが本来はどういう場所で、そして何故この部屋に入ったのかを櫻は思い出させてくる。そうだ。試着をしに来たのだ。けれど、どう考えてもこの行為は試着とは程遠い。
「綺麗に拭いてあげるね」
“どうやって?”そんな言葉はまた押し当てられた唇にかき消されてしまった。甘く優しいキスに溶かされてつい強張っていた体の力が抜けてしまう。
それが狙いだったのだろう。
「んッ…あぁ、ヤ」
するりと下着が降ろされる感覚に慌てて首を振るが遅かった。フッと笑う櫻になだめられるように敏感な場所を捕らえられてしまう。下着越しではない、ダイレクトな刺激はそれだけで泣き出しそうなほど苦しい。
“拭いてあげる”
確かにその言葉通り、櫻の指は葵のそこを包み込んで上下に撫でてくるが、乾くどころか軽かった水音がぐちゅぐちゅと激しさを増してくる。
「あッ…あ、ヤ、ヤダぁ」
「大丈夫、気持ち良いんだよね?」
先端の一番繊細な部分に指を当ててくるくると回しながら、櫻は耳元で囁いてくる。まるで溢れる蜜を塗り広げるような動作に、葵はもう堪らずに腰を揺らして逃げたくなってしまう。
櫻の顔越しに見えるピンク色のシャンデリアはもうすっかり涙でぼやけている。
「ふぁ…ん、んッ…さくら、せんぱッ」
「おかしいね、ぬぐってあげてるのにさっきより濡れてきた」
「言わな、で……あ…っん」
悪戯する熱い指先を外したくて腕を伸ばしかけたが、刺激とともに湧き上がる声を押さえたくて口元から手が離せない。
動きを教え込むようにゆっくりと、櫻は根元から指を伝わせて、そして先端を撫でて蜜を塗り込み、そしてまた根元へと戻らせていく。決して激しいものではないのに、じわじわと的確に侵食するような動作は、葵の視界を白くチカチカと瞬かせていく。
「もうイッちゃいそうだね。でも指だと刺激が強すぎるかな?お口でしてあげよっか?」
耐えきれなくて腰を揺らせば、櫻はそれを押さえつけながら、また、葵に選択を迫る。指か口か。どちらを選べばどうなるのか。もう正常な判断など出来やしない。
「あぁッ、ん…つらく、ないの」
「辛くないほう?じゃあ、お口かな?」
わけも分からずに頷いた葵を見て、櫻は幸せそうに唇を歪めた。
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