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act.4哀婉ドール<46>*

櫻はソファベンチに乗せられていたクッションを手に取ると、葵の腰の下に入れ込んでくる。それを”準備”だと言われれば、抵抗する気は起きなかった。いや、抵抗したくても全身痺れた状態の葵にはロクな力など入らない。 ただされるがままにスカートをはしたなく捲り上げ、櫻の意のままにレースのあしらわれた靴下を纏う両脚を抱え上げられてしまう。 「ちゃんと見ててね」 そう言って櫻は肩口まで柔らかな曲線を描くライトブラウンの髪を耳に掛けると、葵の膝を胸に付くほど深く押し上げ、そしてゆっくりと唇を開いた。 「あッ…や、あ、んんぅッ」 ぱくりと開かれた紅い唇が落とされたのはふるふると震える葵自身。初めての行為ではないが、いつも完全に寝転んだ状態でされるのだから、こうして自分が他者の唇に辱められる瞬間を見させられたことはない。 スカートの裾の刺繍と、櫻の長い睫毛と、そして蜜を零す淡いピンクの器官と。 葵の視界いっぱいに倒錯的な光景が映って背筋がぞくりと震えが上がる。視界がちかちかと弾け飛んで今までとは比ではない、何かが奥から滲み出てくる感覚がする。 「ひッ、ん」 「コラ、まだイッちゃだめ。」 そのまま身を委ねようとすれば、見咎めた櫻にキュッと根元を指先で戒められてしまった。堰き止められた苦しさをこらえるために両腕で顔を隠そうとすれば、それすらも許してもらえない。 「可愛い顔ちゃんと見せて?」 そう言って櫻は床に落ちたままのリボンを拾い上げて葵に見せてきた。 「顔、隠しちゃったらこれでお手々結んじゃうよ」 「やッ、やだ」 「うん、僕もまだ葵ちゃんにこういうプレイが早いのは分かってるから無理強いしたくない。だから、いい子にお顔見せて?」 まるで小さい子供に言い聞かせるような口調が余計に葵の羞恥を煽る。けれど、拘束されるのは怖い。素直に頷いて顔を覆っていた手を下ろしてみせた。 「いい子の葵ちゃんには約束通り、いっぱい優しくしてあげるからね」 そうして再開された口淫は確かにねっとりと優しく犯すものではあったが、葵の体を簡単には解放してくれない。 それどころか、葵の脚から力が抜けて抑えておく必要がないと判断したのか、手の空いた櫻が、葵を舐め上げながら手を胸元へと滑らせてきた。

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